18日、東京・錦糸町の墨田区総合体育館で行われた日本スーパーバンタム級タイトルマッチ10回戦は、元チャンピオンでランキング1位の挑戦者、久我勇作(ワタナベ)がチャンピオンの田村亮一(JBスポーツ)からダウンを奪って、3-0の判定勝ちを収めた。久我は昨年7月、和氣慎吾(FLARE山上)にTKO負けして失ったタイトルを取り戻した。田村は1月の空位決定戦に勝って手にしたタイトルの初防衛に失敗した。

写真上=久我の左フックが田村を捉える

 両者の顔合わせは2年ぶり2度目。前回は“ゾンビ”というニックネームそのままに、田村が久我の強打に厳しく食い下がり、敗れはしたが競った戦いに持ち込んだ。その後、田村は何度も再戦要求を突きつけたというが、久我側からはいずれもなしのつぶてだったという。そのときのいきさつを持ち出して、試合前からチャンピオンは遺恨をあおり立てたもの。

 だが、こと前半戦に限って言えば、田村の戦法は意外におとなしい。攻め口も単調で、久我は思う存分、持ち前の強打を振るう。出ばなをねらう右ストレート、クロス。これにつなげる左フック。ときおり突き上げる右アッパー。そのことごとくが鋭い。ロープを背にした攻防でも、久我のショートが迫力が大きくまさる。

 5回には、これもロープを背負った久我の右ストレートが立て続けに2発。その後に倒れた田村にカウントが数えられる。最後は久我が投げ飛ばす形ではあったが、レフェリーのビニー・マーチンはその以前のダメージを採った。

 しかし、6回になると久我は一気にスローダウンしてしまう。飛ばしすぎか。それとも何かのトラブルか。田村との前戦、久我は右手を激しく骨折してしまった過去もある。とにかく攻め数が極端に減った。そうなると田村の番だ。体ごとぶつけるようにして迫ると、粘っこくボディをたたき、そのまま連打を上にとつなげていく。パンチのひとつひとつに迫力はないが、まさしくゾンビ復活だ。

 8回以降、ようやく攻撃的になった久我が連続してラウンドを奪って、そのまま逃げ切ったが、前半のような力強さが蘇ることはなかった。

画像: 試合を振り返る久我

試合を振り返る久我

「6ラウンドは休ませた。結果として相手を勢いづかせたかもしれない」と陣営は語る。もし、そうだとしても、自分のリズムを崩してまでの休息なら、そのまま流れのすべてを相手に持って行かれる可能性もある。あるいは今回も右拳を痛めた久我に、あえてトラウマから回避させる策を授けたのか。ともあれ、全部を経験とするしかない。

「今日のところは、和氣さんに負けて失ったポジションを取り戻せたということ。これからのことは周囲と相談したい」

「世界へ向けて」と景気のいい回答を聞きたい報道陣を煙に巻くように、試合後、久我の言葉は慎重だった。日本屈指のハードパンチャーは28歳、キャリア9年でもまだまだ学習の最中であるのは違いない。

文◉宮崎正博
写真◉小河原友信

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