オリンピックを彩る海外のスター選手たち。これまでの大会同様、2020年東京オリンピック・パラリンピックでわれわれを魅了してくれるのは誰なのか? そんなスターになるえる候補選手を競技の枠を超えて紹介していくこの企画、第2回目は重量挙げのラシャ・タラハゼ(ジョージア)だ。

写真上=他の追随を許さず、自らの世界記録を更新し続けるタラハゼ●Lasha Talakhadze◎1993年10月2日、ジョージア生まれ。身長197cm、体重117kg。東京五輪では109kg超級に出場予定。
写真/Getty Images

 オリンピックは速さ、高さなど、あらゆる要素の世界一決定戦だが、ウェイトリフティング(重量挙げ)はまさに力持ちの世界一を決める戦いだ。

 日本では三宅宏実(いちご)が女子48kg級において2012年ロンドン大会で銀、2016年リオデジャネイロ大会で銅を獲得して注目を集めたが、いま現在、世界一の力持ちは男子109kg超級(2018年までは105kg級)のジョージアのラシャ・タラハゼだ。

 ジョージアといえば、大相撲の栃ノ心の生まれた国であり、怪力自慢がたくさんいる印象だが、タラハゼはリオデジャネイロ大会で、スナッチで215kgを淡々と持ち上げて世界新、クリーン&ジャークでも258kgを挙げ、合計473kgの世界新記録をマークして金メダルを獲得した。

画像: 床からバーベルを頭上まで持ち上げ、そのまま立ち上がるのがスナッチ 写真/Getty Images

床からバーベルを頭上まで持ち上げ、そのまま立ち上がるのがスナッチ
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画像: 床からバーベルを胸元まで持ち上げ(クリーン)、そこから頭上で持ち上げる(ジャーク)のクリーン&ジャーク 写真/Getty Images

床からバーベルを胸元まで持ち上げ(クリーン)、そこから頭上で持ち上げる(ジャーク)のクリーン&ジャーク
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 怪力の勢いはとどまるところを知らず、地元ジョージアで行われた今年のヨーロッパ選手権では、スナッチで218kg、クリーン&ジャークで260kgを挙げ、世界記録を更新。タラハゼは未知の領域へと突入している。

 スナッチ、クリーン&ジャークそれぞれ3回の試技で行われるウェイトリフティングの妙味は「駆け引き」と「サスペンス」にある。

 実のところ、試合が始まる前にメダル候補はある程度見えている。いきなり自己ベストを10kg更新しろと言っても無理な話で、選手は自分の身の丈に合った重量からスタートする。だから試合が始まっても、タハラゼのような本命は、なかなか出てこない。

 順位をひとつでも上げようとする選手たちは、失敗覚悟で勝負を仕掛けにいく。見る側も頭の中で重量を計算しながら見ていると、ドキドキが止まらなくなってくる。このあたりの心理戦にウェイトリフティングの妙味がある。

 そしてスナッチで頭上、クリーン&ジャークで鎖骨にバーベルを乗せた瞬間、会場は大きく盛り上がる。そこからしっかりと持ち上げないことには、意味がない。さて、バーベルは上がるのかどうか――このスリルがたまらない。

 しかし、タラハゼはそんな駆け引きやスリルをあざ笑うように、淡々と重たいものを持ち上げていく。

 世界一の力持ちは、とことんクールである。

【ウェイトリフティング男子109kg超級 競技日程】
8月5日(水) 13時50分~16時/グループB 19時50分~22時/グループA

文/生島 淳

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