12月16日(月)、アメリカンフットボールの日本社会人選手権「JAPAN X BOWL(ジャパンXボウル)」で対戦する、富士通フロンティア―ズとパナソニックインパルスの指揮官インタビュー。

 富士通の山本洋ヘッドコーチ(HC)に話を聞いた。

画像: 富士通の山本洋HC=撮影:小座野容斉

富士通の山本洋HC=撮影:小座野容斉

 ジャパンXボウル、日本選手権・ライスボウルを3連覇、今季も全勝で東京ドームに乗り込む富士通。ただ、名将・藤田HCの後を受けた山本HCにとって、その道は決して平たんではなかった。春に、昨年のMVPのRBトラショーン・ニクソン、主将のWR宜本潤平が負傷で、今季シーズンアウトとなる戦力ダウン。シーズン最終盤にはエースQBマイケル・バードソンが思わぬ負傷でシーズンエンドとなる不運に見舞われた。しかし、その都度、新加入のRBサマジー・グラントの活躍や、2番手QB高木翼が台頭。レギュラーシーズン最終節のオービック戦のような接戦をしぶとく勝ち抜いてきた。

Q:準決勝のエレコム神戸戦では先発したQB高木翼が立て続けにTDを決めました。

山本HC:高木のやりやすいように少しオフェンスのプレーを組み替えました。練習でやってきたことを確実にTDという結果につなげられたのは良かったと思います。

Q:RBではサマジーもよかったですが、ウィリアムズ・デレク・アキラが良かったと思いますが。

山本HC:そうですね。負傷をして、久しぶりのゲーム復帰だったのですがとても良かったと思います。今はもう負傷も大丈夫だと思います。

Q:QBのマイケル・バードソンはもう出られないのですか。

山本HC:アキレス腱をやってしまっているので、今シーズンはもう出られません。高木と平本で戦うことになります。この2人でゲームコントロールしていければ行かなければなりません

Q:QBとして高木に求めるものは何ですか

山本HC:高木自身はパスは下手なQBではありません。準決勝ではうまく4本のTDパスを決めることができました。しかし、一番彼に求めたいのは、自分で試合を決めるという意識を持たなくていいということです。サマジーもそうですし、あるいは、中村(輝晃)クラーク、岩松(慶将)というフィニッシュまで持って行ってくれる選手がいる。彼らにしっかりボールを託すことが大事だろうと思います。

画像: 今季、大事な局面でのパスキャッチが光る富士通WR岩松=撮影:小座野容斉

今季、大事な局面でのパスキャッチが光る富士通WR岩松=撮影:小座野容斉

Q:パナソニックに対しては

山本HC:オフェンス、ディフェンス、スペシャルチームのすべてでシーズン通して力が上がってきていると思います。前回(第2節・9月7日、富士通45-27)と同じような形にはならないと思います。前回の戦いでは、新しい米国人QBがいて、オフェンスとして米国人QBをどう使いたのかという部分は多少は見えたのかなとは思います。ただシーズンを通していろいろ変化してきているところもあります。ディフェンスはそこを押さえてしっかりゲームプランを組み立てる必要があります。
また、パナソニックはディフェンスも、最近の試合の映像を見ると、我々が戦った時とは違ったことをやってきています。JXBに向けたプランは、前回の試合を引き継げるわけではないので、もう一度しっかりとしたゲームプランを用意したいと思います。

Q:パナソニックが相手というと、どうしても我々は2015年のJXBを思い起こしてしまいます。有利と見られていた試合で逆転負けを喫しましたが。

山本HC:確かにそのゲームはそうだったかもしれないですが、今は選手もかなり入れ替わり、チーム自体も変わってきています。我々のチーム力もさらに上がってきていると思うので、しっかり準備をしていけばよい勝負ができるのではないかと思っています。

Q:パナソニックの荒木監督は同じRB出身で、年齢や体格も似ていますね。

山本HC:荒木さんが2年くらい学年が下だと思います。早稲田と戦ったことはあったかもしれませんが、記憶にないですね。

Q:荒木さんも山本さんも、エースRBとしてバリバリ走るというよりは、ブロッカーだったり控えだったり、別の役割を持った現役時代でした。それが今の指導で役立っているということはありますか。

山本HC:今回のバードソンの負傷であったり、シーズン前の宜本主将のけがもそうなのですが、フットボールはワンシーズン、フルに、スターターの選手だけで戦っていくわけではない。チームの総合力を上げていかなければなりません。そのためにはバックアップの選手が非常に大事になってくる。そういうバックアップのメンバーが、今回のような大舞台、あるいは今季第7節のオービック戦でもそうだったのですが、ビッグゲームでしっかりとした結果を残せるようになっていく必要がある。先発になれるかどうか際のところの選手、あるいは控えの選手が、どういう意識を持って日常に取り組んでいかなければならないのか。そこはチームミーティングでも常に意識して話しかけていることですし、プライオリティーを持ってやっています。私自身が体験してきたことでもあるので。

Q:今季、勝負所で良い活躍してきたWRの岩松君が「(宜本)潤平さんが負傷から戻ってきても、易々とポジションには戻さない。それくらいの強い気持ちでやっています」と話していました。

山本HC:私が常に言っていることを感じてくれているのかなと思いますね。

Q:OLも、かなり負傷者が出ていますが、穴が開くことなくきっちりと埋まっている感じがします。

山本HC:今のOLの先発の5人は、そのまま日本代表にも行けるようなレベル。バックアップの選手も頑張っているとは思うが、あそこまで行き切っているかと言えばまだまだと、正直に思っています。ただ、何を言っても、もう直ぐにゲームは来るし、そこで先発として出なければならない。我々コーチサイドから要求されているゲームプランをどれだけ高いレベルで遂行できるかが問われます。自分たちの持っている能力の最高の物をその場で出してほしいと思います。

画像: QB高木(後方)を守る鉄壁の富士通OL陣。左からC山下、G仁川、T小林=撮影:小座野容斉

QB高木(後方)を守る鉄壁の富士通OL陣。左からC山下、G仁川、T小林=撮影:小座野容斉

Q:HCとしては、初の東京ドームですがその辺の意気込みは

山本HC:それほど特別に意識はしていない。確かにXリーグの決勝なので、そこでプレッシャーがないということはないですが、いつも通り選手を勝たせるために、私としてできることをやっていく。チームも、勝つためだけの準備をきちんとしていくということには変わりはありません。

Q:山本さんは、コーチとしては何回もドームに来ているわけですが、HCという立場との違いはありますか

山本HC:勝つということに対する考え方というか、意識の在り方はやはり違います。今までも勝ちたいとは思っていましたが、今回その気持ちはさらに強くなりました。自分個人だけでなく、選手やチーム全員に、試合を通じてそういう意識を徹底させなければならない。そのためにはどうしたよいのかということに、より思考が向かうようになったと思います。今までは自分の抱えているユニットを良くすることが第一で、それが勝利につながると考えていましたが、今はより全体的な思考になってきたということです。

Q:試合のポイントとしてはどんなところを考えますか。

山本HC:我々はテンポよくノーハドルでやっていくオフェンスですが、前回のようなハイスコアの展開にはならない。高木、平本を生かせるような形をとりつつ、得点圏まで進めたなら、きっちりスコアする。当たり前ですがそういうところをしっかりやりたいと思います。

Q:この両チームの戦いを見る時に、自分たちのペースをキープしようとするフットボールが富士通で、それを壊しに来るのがパナソニックという印象があるのですが。

山本HC:我々は、例えば、オフェンスの形としていえば、ノーハドルでテンポよく進めて行って、キーパーソンに長いパスを投げたりする。それは、相手ディフェンスのやりたいことをさせないようにしている部分が強いわけです。対戦チームは、質問の通り、それを崩しに来る。今季第5節の(苦戦した)エレコム戦などは我々のやらなければいけないことをさせてもらえなかった。我々としてはどんな状況においても、まずはそうならないようにするというのが一番大切なことだと思っています。

画像: 記者会見に臨んだ富士通の山本洋HC(左)と南副将=撮影:小座野容斉

記者会見に臨んだ富士通の山本洋HC(左)と南副将=撮影:小座野容斉

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