1月9日に退任会見を行った、関西学院大学アメリカンフットボール部ファイターズ前監督の鳥内秀晃氏。28年間、「教育」にこだわり、チームを率いてきた学生アメフト界の名将の魅力とは。著書『どんな男になんねん』の共著者である生島淳氏によるコラムをお届けします。

取材

 最初の取材は2019年4月16日夕方、17日昼に大阪・新地で行われた。場所は、これもまたアメフト部のOBが提供してくれた。こうした部分にも、彼らの絆の強さがうかがえた。

 16日に2時間、そして17日の取材にいたっては3時間。こちらはへとへとだったが、監督は、

「もうええの? まだまだ喋れるで」

と意気軒高である。

 いま思えば、へとへとになった理由が分かる。

 監督の話は、自由自在に飛翔した。

 これは引退会見でも感じたことだが、鳥内監督の言葉は「散文調」なのである。

 用意された設計図があるわけではなく、その日、気になったことをきっかけに話が始まり、それが深遠な指導哲学へと広がっていく。

 監督自身、こんなことを話していた。

「俺はディフェンス出身やろ。ディフェンスはリアクション芸やねん。漫才で言うたら、ツッコミやな」

 監督の話は素早いリアクションを重ねていく即興劇のようで、テーマを選ばない。

 当然、私もそれに合わせて話を進めていく。ただし、時間が経つにつれ、監督の呼吸が分かってきて、私も質問をぶつけられるようになってきた。特に常日頃、アメリカのスポーツで得た情報、知識についての解釈を求めると、必ず監督なりの解説をしてくれた。

 本の中には、こんな単語が登場する。

 エマニュエル・カント。

 OODA LOOP。

 監督は、教養の塊だった

画像: 監督室には大きなモニターが。練習のある平日の午後は毎日、ここで映像の分析をしていた

監督室には大きなモニターが。練習のある平日の午後は毎日、ここで映像の分析をしていた


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