アメリカンフットボール日本代表が3月1日、米テキサス州フリスコで対戦する、米育成プロリーグ「The Spring League(TSL)」選抜チームに、またもNFLでプレー経験を持つ新たな選手が加わった。
 テネシー・タイタンズで活躍したRBアントニオ・アンドリュースだ。アンドリュースはNCAAのウェスタンケンタッキー大で3,4年時に2シーズン連続でラン1700ヤード以上を記録した実力派で、タイタンズにドラフト外で入団した後、2015年には10試合に先発し、ラン520ヤードを記録した。178センチ102キロで頑健な体つきだが、パスキャッチも器用にこなす。昨シーズンはQBメッテンバーガーと同じ、新興リーグAAFのメンフィス エクスプレスでプレーしていた。

 QB、RBというオフェンスの中心にNFLの準スターター級が参加するTSLチーム。果たして藤田智ヘッドコーチ(HC)率いる日本代表はどう戦うのか。共同でディフェンスコーディネーターを務める大橋誠(オービック シーガルズ)、トム・カウマイヤー(IBM ビッグブルー)の両氏に、話を聞いた。

画像: 「ジャパンのスタンダード」を追求する大橋DC。右は、日本代表の練習補助に参加したオービックの古庄直樹アシスタントHC=撮影:小座野容斉

「ジャパンのスタンダード」を追求する大橋DC。右は、日本代表の練習補助に参加したオービックの古庄直樹アシスタントHC=撮影:小座野容斉

 「JAPANのスタンダード確立を」…大橋誠DC

大橋DCとの一問一答は次の通り

Q:ディフェンスとしては、今回の日本代表はどういうチームか

大橋DC:基本的には若い。その分だけ、もう少し(準備や練習の)時間があれば、伸びしろがあるんだろうなと思う。トムさんが持ってきているディフェンスは、シンプルな組み合わせになっているので、全体的にチームの吸収力は速い。一方で、選手ひとりひとりの個性がもうちょっと出てもいいかなと思う部分がある。

Q:個性というのは、ミーティングやハドルでの発言など個々のキャラクターも含めてのもの?

大橋DC:そこは、近江(克仁)主将が頑張って、いろいろな発言を引き出している。そうではなく、プレーの中で、同じパスラッシュするのでも、スピードで抜くのが得意だとか、テクニックでもっと行けるぞとか、LBの勝負にしても手を使っていくのが上手いとか、それぞれの得意なスタイルというのがあると思う。同じレスポンスで守るにしても、もっとその違いを生かしてやっていっていい。

Q:代表としては、今回準備期間が足りない。その中で藤田HCも個々の勝負にこだわると話をしている。ある意味シーガルズのフットボールに近い。

大橋DC:局面勝利の積み重ねが、ユニットの勝利。そこからは決して逃げてはならない。そういう意味ではシーガルズとも似た形とは思う。ただそれはフットボールの本質だとも思う。

Q:今までに日本が対戦したアメリカのチームは、QBに関してはあまりレベルが高くなかった。その一方でランで蹂躙されて負けてしまうパターンが多かった。そこは、今回はパス能力の高いQBが出てくるが。

大橋DC:基本的にはプレッシャーをかけるチャンスがあった場合には確実にプレッシャーをかけなければならない。それで、パスラッシュのメニューも練習の中では多めに組んである。ただ、基本的には、最後の最後は、ディフェンスから見ても、予想ができる同じようなパターンのランプレーでヤードを出され続けては駄目だ。今、練習の中で意識的に、ディフェンスのローテーションを長めにしている。疲労感のある中でどれくらいプレーできるかが重要になる。

Q:DBに身長が高くサイズがある選手が揃ったが。

大橋DC:今回の選手選考は、(2月1、2日の)トライアウトを重視していて、そこでのスコアの結果としてこうなった。結果的に大きな選手が増えたかもしれないが、対アメリカを想定してというよりは、トライアウトで一番良いパフォーマンスをしてくれた選手たちが残ったということだ。
Xリーグでもサイズ感のあるDBが増えてきたということなのかなとも思う。

Q:フィジカル勝負といったところで、1カ月で筋肉が目に見えて付くわけではない。個々のプレーで強さを引き出すものとは

大橋DC:基本的にはいろいろなチームでやっているファンダメンタルに少しづつ違いがある。例えばステップ、あるいはタックルのアプローチなど。その部分を、このジャパンでのスタンダードは何なのか。そこをそろえに行く。そうすることで、フィジカルを上げるというよりは、持っているフィジカルを最大限にアメリカにぶつけられる状態を作る。そこにつながるのだろうなと考えている。
藤田HCと話をしているが、日本代表としてのスタンダードを作らなければならない。特に今回は、タックルにフォーカスしてやっているが、過去の日本代表を見ていても、米のチームと対戦するときにどこで一番不利な形になっているかといえば、タックルミスが大きい。そこへの取り組みを、どのポジションであってもしっかりやる。
U19代表、大学日本代表、そして日本代表と各年代でやっていることが必ずしも共通していない部分がある。私や、米倉(輝・共同オフェンスコーディネーター)、板井(征人・オフェンスコーチ)のように各カテゴリーに関わっている人間が増えてきているので。スタンダードをちゃんと持てるようになってくれば、一つの財産になる。それを積み重ねていくことで、フィジカル勝負でも勝てるようになるのではないか。

画像: 選手としてもコーチとしてもNFLでの戦いを経験しているカウマイヤーDC=撮影:小座野容斉

選手としてもコーチとしてもNFLでの戦いを経験しているカウマイヤーDC=撮影:小座野容斉

 「ブリッツ、スタンツで変化付け勝負 タックルミスは許されない」
 …トム・カウマイヤーDC

トム・カウマイヤーDCとの一問一答は次の通り。

Q:NFLのジャガースでDBコーチをしていたのはいつぐらい

カウマイヤーDC:2008年から4年間だ。

Q:そうすると、今回TSL選抜に参加が発表されたQBメッテンバーガーとは対戦していない。

カウマイヤーDC:そうだ。フィールドでは対戦していないし、見ていない。ただ彼が優れたQBなのは知っている。

Q:NFLで先発経験のあるQBと対戦することについては。

カウマイヤーDC:NFLレベルのディフェンスチェックを知っているQBが出てくるのは本当に大変だ。タフなゲームになるだろう。ただ、彼らは練習が足りないはずだ。彼らにとってもタフなゲームになる。

Q:ハイレベルのパスオフェンスにどう対抗するのか

カウマイヤーDC:とにかくQBにプレッシャーをかけることが重要になる。また、レシーバーに関しては、(マンツーマンのDBが)ブレークをさせず、しっかりタックルし続けることが大切だ。
ブリッツやスタンツなどを使い、時にはギャンブル的な守りも必要になってくる。そしてサードダウンロングの状況をどれだけ作り出せるか。そのためには、タックルフォーロスも必要だ。

Q:過去のアメリカとの対戦では、ランでオーバーパワーされて敗れた試合が多いが

カウマイヤーDC:ランに対しては、ギャップをぎゅーっと絞って、ランナーが走るホールを可能な限り小さくする。その小さなスペースの中でタックルする。確実にタックルすることが重要で、カットバックされて、オーバーパシュートになり、ロングゲインをされてはならない。ランに対しては8メンフロントで守ることになる。

Q:日本のディフェンスが勝っている部分があるとしたら。

カウマイヤーDC:クイックネスだ。それを生かすためには、いつも同じヒットをするのではなく、スタンツやブリッツも交えて変化をつけ、敵のOLが自分たちのペースでブロックできなくすることが重要だ。

Q:DBはどう守ればいいのか。

カウマイヤーDC:アメリカのWRは大きく速く強い。競り負けてパスを通される場面はあるだろうが、しっかりタックルしてランアフターキャッチを許さないことが重要だ。5ヤードのショートパスでオーバーパシュートして30ヤードのパスプレーにしてしまうなど、絶対に防がなければならない。

画像: ドーナツ型の転がるダミーでタックルを磨く日本代表のDL松尾=撮影:小座野容斉

ドーナツ型の転がるダミーでタックルを磨く日本代表のDL松尾=撮影:小座野容斉

画像: ドーナツ型の転がるダミーでタックルを磨く日本代表のDL高橋=撮影:小座野容斉

ドーナツ型の転がるダミーでタックルを磨く日本代表のDL高橋=撮影:小座野容斉

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