アメリカンフットボールのXリーグは、2020年秋季リーグの開催を1カ月以上遅らせ、10月開幕とし、シーズンの期間を縮小することになった。日本社会人アメリカンフットボール協会(NFA)が5月12日発表した。新型コロナウイルス感染拡大へ対応するもの。詳細は明らかになっていない。

昨年からリーグ戦方式を全面的に変更したXリーグは、トップリーグの「X1スーパー」が、8月第4週の週末に開幕し、8チームによる総当たりリーグ戦を7試合を行い、上位4チームによるプレーオフで王者を決定していた。

NFAは発表の中で、「健康と安全を第一とし、社会活動が平常状態に回復することを最優先事項とすべき」とした。
その上で、現状の各チームについて
・「通常であれば2月中旬から3月中旬にかけて行われる新シーズンの基盤をつくるトレーニングが今年はできていない」
・「新人選手募集活動等が遅れており、また、新人選手を含めての新しい体制でのチーム活動を開始できていない状況」
と認識。
その現状を踏まえ、「秋季公式戦・通常開催取り止めの早期判断を行い、代替案の具体的準備を開始することが適切である」とした。

発表は、「10月開幕」「期間の縮小」についてのみで、具体的な内容はなにも明らかになっていない。リーグ戦方式の変更や、試合数の削減、他のスポーツで行われているような無観客試合の可能性についても一切言及はない。

解説

新型コロナウイルスに関する「緊急事態宣言」が全国で続く中、地方自治体によっては休業要請の解除など「出口戦略」を模索する動きもある。スポーツの世界では、韓国や台湾でプロ野球が開幕、米国のMLBも7月開幕を視野としている。アメリカンフットボールでも、9月開幕の米NFLは、海外開催を取りやめる以外はほぼ通常通りの日程を5月7日に発表した。

それに比べて、5月中旬段階で、秋季リーグの開幕を1カ月以上延期とするのは、議論尚早にも見えるかもしれない。

春季日程の中止についても、NFAの判断は比較的早かった。3月25日には、7月より前の春季公式戦の全中止を発表した。ほぼ同じ時期、国内の他のスポーツを見ると、大相撲は三月場所(大阪)を無観客で開催し、東京の五月場所は通常通りの開催を目指していたし、プロ野球は当初から1カ月延期した開幕日を4月24日に設定していた。サッカーはJ3が4月末、J2やJ1は5月上旬の開幕を模索していた。

アメフットは一般的に言って、1チーム当たりの人数が最も多い球技だ。トップリーグの「X1スーパー」であれば、チームによっては練習生も含め選手だけで70人以上、コーチやスタッフ、トレーナーも含めれば100人に迫る陣容となる。アメフットは「知的集約型」スポーツであると同時に、「労働集約的」な側面も濃厚に持つ。zoomのようなインターネット上のツールを駆使したミーティングなど、バーチャルな対応を整備するだけではプレーはできない。実際に人間が集まって練習する場が絶対的に必要だ。

これだけ多くの人間が集まる練習環境は、現状ではまず構築しえないし、それがいつ解禁になるかの見通しも立たない。秋季のリーグの基盤となる夏季練習も十分に行えない可能性もある。少なくともNFAはそういう危機感を持っている。

選手やコーチが「自分がコントロールできない事柄には、気を取られない。自分の力でどうにかできることだけにに神経を集中する」という趣旨の言葉を、よく口にする。フットボールはアジャストのスポーツだ。今回のコロナウィルス感染拡大のような事態は、精神論を別にすれば、乗り越えるものでも打倒するものでもない。いかにアジャストしていくか。

NFAは、今回の発表の中で、「本日以降も、現時点では予想のできない環境変化が発生することもあろうかと存じますが、柔軟に対応しながら、粛々と準備を進めてまいります」としている。その対応を、今は静かに見守りたい。【小座野容斉】

NFAの発表

画像1: 昨年の秋季リーグ開幕戦、富士通 vs IBM戦から=2019年8月24日 撮影:小座野容斉

昨年の秋季リーグ開幕戦、富士通 vs IBM戦から=2019年8月24日 撮影:小座野容斉

画像2: 昨年の秋季リーグ開幕戦、富士通 vs IBM戦から=2019年8月24日 撮影:小座野容斉

昨年の秋季リーグ開幕戦、富士通 vs IBM戦から=2019年8月24日 撮影:小座野容斉

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