横浜F・マリノスは敵地でFC東京に4-0で快勝した。4ゴールを集めた攻撃陣とともに、相手を無失点に抑え切った守備陣のプレーぶり光った。ディフェンスの中心であるCB畠中槙之輔がその意味を語った。
上写真=GK朴一圭と肩を組む畠中。この試合の翌日に朴の期限付き移籍が発表された(写真◎J.LEAGUE)
敵将の長谷川健太監督は戦前、「試合開始からアグレッシブにいく」と話していたが、横浜FM守備陣は、その出方を予想し、うまく対応していった。中心として守備を引き締めた畠中が振り返る。
「相手も1週間空いていてましたし、勢いを持って入ってくるのは覚悟していました。ただ、自分たちも対策はできていたし、前半は何度かのピンチありましたけど、ゼロで切り抜けて後半、少ないチャンスをモノにしてゲームの流れを完全に自分たちのものにできたので、良い展開を自分たちで作れたのかなと思います」
前半、相手がアグレッシブに来るのは想定内で、ハイプレスから何度か好機も作られたが、最後の最後で体を張って、しのぎ切った。ハイラインの裏を狙われたが、「ディフェンスラインとパギくん(朴一圭)とで対応しようと話して、うまくできた」。迎えた後半はジュニオール・サントスの得点から畳みかけて、相手を突き放し、終わってみれば4-0の完勝を飾った。
「以前に比べると、自分たちのサッカーをもう一度見直して、自信をもってやろうというコンセプトがある中で、全選手が、誰が出ようが質の変わらない高いレベルで自分たちのサッカーができていることは大きいと思います」
連戦の中、メンバーの変更とともに9月中旬からフォーメーションに手を加えつつ戦ってきたが、この日は4-2-1-3を採用。起用される選手の顔ぶれと相手のスタイルを考慮した選択だろうが、従来のチーム力が存分に発揮されることにもなった。ただ、畠中は「いろんな形で試合に臨んでいますが、自分たちのビルドアップはポジションとか関係ないので。うまくできているからこそ良い試合展開にもなりますし、自分たちの強みをもっと出せるようになったと思います」と形よりも実践したスタイルと事実に目を向けた。
無失点で終えたこと、信じるサッカーで戦い抜いて勝利を収めたことの意味は大きい。試合後、ディフェンス陣がGK朴一圭を中心に勝利の喜びを分かち合っていた。朴の目には、光るものも見えた。
「シンプルに強い相手に勝てたので。最近は無失点で勝つということも多くはなかったので。みんな感極まってああいう感じになったのかな、と思います」
試合後のピッチ上の光景について聞かれた畠中は、まだ公式発表前だったこともあり、言及しなかったが、翌日、朴のサガン鳥栖への期限付き移籍が発表された。最後まで集中した守りで実現した無失点勝利には、これまで苦楽をともにしてきた仲間へのはなむけの意味も込められていたのかもしれない。
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