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2020-10-28

【アメフト】近江、佐藤が参戦する米TSLが開幕 カレッジの元スターQBも再挑戦

本格的なリーグ戦が開幕したTSL

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 アメリカンフットボールの、米国育成プロリーグ「The Spring League(TSL)」が、現地10月27日、テキサス州サンアントニオのアラモドームでに開幕した。日本からは、IBMビッグブルーのWR近江克仁、K佐藤敏基が参戦したが、近江が所属するアルファズは、ブルーズに0-19で敗れた。佐藤の所属するアビエイターズは28-0でジャウスターズを破った。佐藤はこの試合4本のポイントアフタータッチダウン(PAT)を決めた。

 ◇   ◇

 2017年に創設以来、これまでは、3ないし4チームで、「ショウケース」として関係者に向けた内覧会的なゲームやスクリメージを行ってきたTSLが、本格的なリーグ戦を開始した。チーム数を6に拡大し、11月にかけてリーグ戦4試合、その後優勝決定戦を行う。米FOXテレビの系列スポーツ局、Fox Sports 1(FS1)が約半数を中継する。

 TSLの本気度が、開幕戦のアルファズ対ブルーズ戦で分かった。両チームの先発QBは、アルファズがJ.T.バレット、ブルーズがシェイ・パターソンだ。


 バレットはオハイオ州立大で、パターソンはミシガン大でエースQBだった。オハイオ州立大とミシガン大という、カレッジフットボールで、最も有名で濃厚なライバル関係のQBを対戦させる。関係者のためのリーグだったTSLが、新興リーグとして米国の「フットボールマーケット」に打って出るには、これ以上はない顔合わせだ。

 2人の実績もすごい。バレットは、4シーズンで44試合に先発し、通算38勝6敗。パス9434ヤード104TD、ラン3263ヤード43TDと、オハイオ州立大史上最高の成績を残したQBだった。

 パターソンは昨年まで2年間、ミシガン大のエースとして活躍、26試合でパス5661ヤード45TD、ラン476ヤード8TD。今春のNFLドラフトでは指名から漏れたのが大きなニュースになった逸材だった。

 それだけの実績を持ちながら、NFLでは挫折が待っていた。バレットはセインツ、シーホークスを経て、25歳となった今年、スティーラーズからカットされた。23歳のパターソンはドラフト外で入ったチーフスからシーズン前に放出された。NFLの世界は厳しい。カレッジでどんなに栄光を積み重ねようと、何の意味も持たない。彼らのような存在がゴロゴロしているのが米国のフットボールの計り知れない底の深さだ。

 挑戦しているのは、近江と佐藤だけではない。米国の元ヒーローたちも、今、必死でもがいている。【小座野容斉】

シーホークスのQBとして、2019年のプレシーズンマッチ、バイキングス戦に出場したJ.T.バレット=photo by Getty Images
シーホークスのQBとして、2019年のプレシーズンマッチ、バイキングス戦に出場したJ.T.バレット=photo by Getty Images

ミシガン大のエースQBとして、10万人の観衆の前でプレーしたシェイ・パターソン=photo by Getty Images

ミシガン大のエースQBとして、10万人の観衆の前でプレーしたシェイ・パターソン=photo by Getty Images


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