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2020-11-02

【全日本大学駅伝】5区区間新の青学大ルーキー・佐藤一世が見せた「駅伝力」

その駅伝力を大学でも存分に発揮する走りを見せた佐藤 写真/中野英聡(陸上競技マガジン)

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4位に終わった青山学院大学だが、ルーキーらしからぬ堂々の走りを見せたのが佐藤一世。高校時代から定評のあったその駅伝力を大学デビュー戦でもいかんなく発揮し、5区区間新を樹立してみせた。

「みんなで戦う駅伝が大好き」

「5区を走った佐藤は、高校時代と同じように“駅伝力”を発揮してくれました」

7区で先頭に立ったものの、4位に沈んだ青山学院大学。原晋監督は厳しい表情を浮かべながらも、5区で区間新記録を樹立したルーキーの佐藤一世(千葉・八千代松陰高出身)については満点の評価を与えた。

先頭の早大とは1分17秒差の4位でタスキを受けた佐藤は、先行する順天堂大、明大を捉えて2位へと浮上し、先頭の早大の背中を10秒前に見ながらのタスキリレー。

佐藤の記録は35分47秒の区間新。天晴れなデビュー戦となった。

「自分の役割は、前の学校との差をいかに詰められるかだと思っていたので、その仕事はできたのかなと思います。欲をいえば、先頭に立ちたかったですけど」と佐藤は振り返ったが、原監督が言うように、高校時代から発揮していた無類の駅伝力は大学でも変わらなかった。

振り返ってみれば、佐藤は昨年の都大路(全国高校駅伝大会)の1区で、松山和希(学法石川高・福島→東洋大、全日本2区7位)、石原翔太郎(倉敷高・岡山→東海大、全日本4区区間賞)、鈴木芽吹(佐久長聖高・長野→駒澤大、全日本3区5位)、児玉真輝(鎌倉学園高・神奈川→明大、全日本1区5位)、そして三浦龍司(洛南高・京都→順天堂大、全日本1区区間賞)らを突き放し、見事に区間賞を獲得している。

実力者が居並ぶなかで力を発揮できるのは、原監督のいう「駅伝力」が秀でているからにほかならない。佐藤が青学大に進学したのも駅伝が最大の理由だった。

「もともとチームスポーツが大好きで、中学まではサッカーをやっていました。陸上でもみんなで戦う駅伝が大好きで、ずっと強い青学に憧れていて。今年は自分が青学のユニフォームを着て、優勝に貢献できたらと思っています」
箱根駅伝では、チームの中心としての役割が期待されている
八千代松陰高時代の同期対決となった5区。順大の石井一希を抜き去り、勢いに乗った 写真/JMPA

まず、全日本ではデビュー戦を見事な区間賞で飾ったわけだが、箱根駅伝までに建て直しが急務となる青学大で、佐藤は1年生ながらチームの柱となっていきそうだ。

都大路で示したように、1区の適性はある。集団のなかでの駆け引き、そして仕掛けどころの勘に冴えを見せる。あるいは、平坦基調の3区か、それとも新たな重要区間となっている4区か。

20kmという箱根駅伝の距離に対して佐藤がいかに対応するのか、そして“駅伝力”がどう発揮されるのか、お正月が楽しみになってきた。


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