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2020-11-04

【アメフト】日本代表の実力 QB石井5TDパスでLIXILがBULLSに大勝 X1エリア

【LIXIL vs BULLS】第2クオーター7分、LIXILのWR前田がQB石井からのパスをレシーブして走り、79ヤードのTD=2020年11月3日、撮影:小座野容斉

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アメリカンフットボールのXリーグ「X1エリア」は、11月3日に富士通スタジアム川崎で、LIXILディアーズとBULLSフットボールクラブが対戦し、LIXILがBULLSに大勝した。

LIXILディアーズ○74-14●BULLSフットボールクラブ
(2020年11月3日、富士通スタジアム川崎)

 LIXILが地力の差を見せて圧勝した。第1クオーター1分、今春の日本代表に選ばれたQB石井僚介からWR南河竜成に43ヤードのタッチダウン(TD)パスが決まって先制。その後も、石井ともう一人のQB大和田昌太郎のパスが、次々に決まってTDを重ねた。
 LIXILは後半も攻撃の手を緩めず、10TDを奪って大勝した。
 昨年はX2で戦い、今年X1エリアに昇格したBULLSは、前半にエンドゾーン内のスナップミスで2本のセーフティーを喫するなど、反撃体制が整わず。キックオフリターンTDなど2TDを返すにとどまった。

【LIXIL vs BULLS】第1クオーター、LIXILのWR南河がQB石井からのパスをレシーブして走り、先制のTD=2020年11月3日、撮影:小座野容斉
【LIXIL vs BULLS】第1クオーター、LIXILのWR南河がQB石井からのパスをレシーブして走り、先制のTD=2020年11月3日、撮影:小座野容斉

「ニューエアレイド」ディアーズオフェンスが好発進


 2010年代を通じて、ディアーズのエースQBとしてチームをけん引した加藤翔平が、オフに引退した。富永一オフェンスコーディネーター(OC)も桜美林大に転出した。「ポスト加藤・富永」のオフェンスがどうなるのか、その疑問にディアーズはきっちり答えを出した。
 先発QBの石井は、綺麗な投球フォームから、パスを投げ分けた。アウトサイドのスクリーンパスなどが次々に決まり、レシーバーのランアフターキャッチでロングゲインとなった。石井のパスは18/24で、337ヤード5TD、パサーズレーティング(NFL方式)は156.25。加藤の元で控えを務めてきた大和田も、パス6/7で127ヤード、2TDで、レーティングは満点の158.3。2人合わせて464ヤード7TDとなった。昨年までアサヒ飲料ヘッドコーチとして、「エアレイド」オフェンスを指揮してきた新任の久保崇OCにとっても上々のスタートとなった。
 石井は、関西では下位校の神戸学院大出身ながら、QBとしての素材の良さを見込まれて昨年春から台頭。オフには、日本代表に選出され、富士通フロンティアーズの高木翼と2人でジャパンの「攻撃の司令塔」役を担った。富士通、オービック、パナソニック、IBMといった、X1スーパーのレベルの高い選手たちとの練習が、恵まれた能力にさらに磨きをかけた。ディアーズには加入してまだ2年だが、中心選手としての自覚も出てきた。
 余暇の時間でも、かって基礎を学んだ「QB道場」(新生剛士さん主宰)に参加し、高校生や大学生の若いQBに、自分が普段気にしていることをアドバイスするなど、フットボール漬けだ。
 ディアーズがX1スーパー昇格を目指す以上、米国人QBを擁する他チームと渡り合えるハイスコアオフェンスは必要不可欠だ。好発進となった初戦だが、BULLSは昨年X2だったチームで、力の差があったのは否めない。次戦、チーム力を強化している電通キャタピラーズ戦が、新生ディアーズオフェンスの試金石となりそうだ。


【写真・文/小座野容斉】

【LIXIL vs BULLS】TDパスを決めて、笑みを浮かべるLIXILのQB石井=2020年11月3日、撮影:小座野容斉【LIXIL vs BULLS】TDパスを決めて、笑みを浮かべるLIXILのQB石井=2020年11月3日、撮影:小座野容斉

試合後のコメント

LIXIL・高野元秀ヘッドコーチ

◇今日の結果について
◆高野HC:自分たちがやってきたことを精いっぱいやっただけ。僕らは、コロナ下で、練習も工夫をして、可能な環境の中でやっていた。それができたかなと思います。

◇キックオフのリターンで2本持っていかれて、1本はTDだったが。
◆高野HC:負傷者がいっぱいいて、カバーチームのメンバーを固定できませんでした。(TDをたくさん取ったために)あれだけの回数キックカバーをすると、しんどいところもありますね。

◇QB石井は、日本代表に行っただけのことはありましたか?
◆高野HC:石井はもっとできますよ。もっとできないと駄目ですね。

◇一方で、ランプレーが出ない部分もあったが
◆高野HC:そこは課題ですね。ただ、向こうのディフェンスが、(ランに寄っていて)パスを通しやすい守り方だったというのはあります。

◇今季は結果に結びつかない難しいシーズンだと思いますが、残り2試合のテーマは。
◆高野HC:戦う試合はすべて勝つというのが、ディアーズのあるべき姿。将来目指していることのためにも、今シーズン全部勝って良い終わり方をしなければいけないと考えています。

LIXIL・石井僚介

◇今日の成績は
◆石井:レシーバーとのコミュニケーションミスで失敗したものはあったが、アサインメントミスなしで投げたパスはほぼ全部決まったという印象です。

◇チームが若返っているので、主軸となってやっていかなければいけないが
◆石井:今年からオフェンスコーディネーターも久保さんに代わって、プレーもすべて変わりました。OLもかなりの選手が経験の浅い選手となった中で、自分がQBとしてチームをまとめていかなければいけないというのは、練習中からも意識しています。

◇日本代表で非常に良い経験ができて、チームに帰って「さあこれから」という段階で、コロナの感染拡大が起きた
◆石井:代表から帰ってきて、「やってやろう」という気持ちが強かったのですが、3月の下旬で練習ができなくなってしまって。でも、気持ちが無くなってしまったとかそういうことは全然なくて。
 オンラインを駆使して、結構な頻度でトレーニング、ミーティングを重ねてきました。日本代表のレベルの高さや、選手ひとりひとりの練習の取り組みをすごく感じたので、それをできるだけ若いメンバーに伝えるということを意識して過ごしてきました。練習再開は7月でした。
 練習では、駄目な部分が多く、どこまでオフェンスがやれるかなと思っていましたが、今日の実戦では、上手くできた部分も多かったので。そこは自信を持って、次戦に生かしていきたいと思います。

【LIXIL vs BULLS】第2クオーター、LIXILのQB大和田からWR小川にアウトサイドスクリーンパス。WR前田のナイスブロックで、小川は一気にTD=2020年11月3日、撮影:小座野容斉【LIXIL vs BULLS】第2クオーター、LIXILのQB大和田からWR小川にアウトサイドスクリーンパス。WR前田のナイスブロックで、小川は一気にTD=2020年11月3日、撮影:小座野容斉

【LIXIL vs BULLS】LIXILのWR鈴木が、QB石井からのパスをレシーブし、25ヤードをゲイン=2020年11月3日、撮影:小座野容斉【LIXIL vs BULLS】LIXILのWR鈴木が、QB石井からのパスをレシーブし、25ヤードをゲイン=2020年11月3日、撮影:小座野容斉

【LIXIL vs BULLS】BULLSのQB時崎のパスを叩こうとするLIXILのDLマシス=2020年11月3日、撮影:小座野容斉【LIXIL vs BULLS】BULLSのQB時崎のパスを叩こうとするLIXILのDLマシス=2020年11月3日、撮影:小座野容斉

【LIXIL vs BULLS】引退したQB加藤のバックアップを長年務めてきたQB大和田も健在。レーティングは満点を記録した=2020年11月3日、撮影:小座野容斉
【LIXIL vs BULLS】引退したQB加藤のバックアップを長年務めてきたQB大和田も健在。レーティングは満点を記録した=2020年11月3日、撮影:小座野容斉

小座野容斉

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