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2020-11-10

「ここで世代交代」。田中恒成、井岡一翔にKO勝利を宣言。

決して大言壮語ではない。漲る自信!

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 昨日正式に発表されたWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ(12月31日、東京・大田区総合体育館)で、チャンピオン井岡一翔(31歳=Ambition)に挑む挑戦者1位・田中恒成(25歳=畑中)が10日、オンラインでの会見に臨み、「世代交代」、「KO勝利」を宣言した。

 ビシッとスーツを着込んで臨んだ田中の表情は、力みすぎず抜きすぎず、ただただあふれんばかりの自信のみが湧き上がっていた。

 自身が挑む4階級制覇をすでに遂げている井岡に対して、「ここ10年くらい、日本のボクシング界を引っ張ってきた選手」と敬意を表し、昨日の井岡の「すべての面で格の違いを見せつける」という発言に対しても、「井岡選手はチャンピオンだし、すでに4階級制覇もしているから、格という面では向こうが上」と理解を示す。だが、今度の試合に勝てば「その格でも並べるし、直接戦ったら、俺の方が強い」とキッパリ。「ここで世代交代です。そういう試合はきっちりとKOで勝ちたい。井岡選手には、スピード、パワー、スタミナ、何も負けているところはありません。勝って、自分が日本のボクシング界を引っ張っていきたい」と清々しく宣言した。


「スピード、パワー、スタミナ。どれをとっても負けない」。田中恒成は言い切った 写真_本間 暁 ※7月撮影

 過去、ミニマム級からスタートし、ライトフライ、フライ級と制してきた過程では必ずテストマッチを挟んでからの世界挑戦だった。が、今回はいきなりのアタック。だが、ライトフライ時代から「適正はスーパーフライ。でも、まだそこで戦っていくには不安がある」と語っており、厳しい減量を克服しながら、フィジカル面を作りこんできた経緯がある。ようやく、満を持して、機は熟したと言えるのだろう。


木製の小さなコマのような不安定なものにつま先で乗って立つ 写真_本間 暁 ※7月撮影

 3月、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための“ロックダウン”直前に、フィリピンの名門ALAジム(先ごろ、惜しまれつつ閉鎖)でキャンプを張ってきた。ここで元世界ランカーのアラ・ビラモア・トレーナーに受けた3つの指摘─「常に準備をすること」、「つま先重心」、「よけるときのバランス」─を胸に刻み、コツコツとレベルアップに取り組んできた。「ここ1年で技術的にかなり上がりました。試合のとき、みんなを驚かせることになるはずです」。決して大言壮語はしない男だけに、その手応えのほどが伝わってくる。

「スーパーフライ級は、井岡選手を含めて強い選手ばかり。今回は、海外の強い選手と戦うための入り口です」。井岡同様、田中もローマン・ゴンサレス(ニカラグア=WBA王者)、ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ=WBC王者)ら強豪対抗王者との統一戦を念頭に置いている。「2週間隔離状態にあって、海外であれだけ完成度の高いボクシングをできる。さすがだし、凄いです」と、先日ラスベガスで防衛した井上尚弥(大橋)への賛辞を贈りつつ、「自分も海外進出をしたい」と“近未来”を思い描く。

 全階級の選手を比較するパウンドフォーパウンドで、井上尚弥が上位にランクされるのはすでに知れ渡っているが、この田中恒成の評価も、10位以内にランクするものもいくつかあるほどと海外では絶大。むしろ、国内での認知度が低すぎるくらいだ。

“レジェンド”井岡という高い牙城を超えて、国内でも最大級の評価を得る。海外へ飛び出す前の、田中恒成のミッションである。

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文_本間 暁 写真提供_畑中ボクシングジム

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