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2020-11-13

【連載 名力士ライバル列伝】横綱輪島編 最大のライバル、横綱北の湖敏満

輪湖初の楽日相星決戦となった昭和51年初場所千秋楽、寄り切りで北の湖が5回目の優勝を決める。大一番で何度も輪島に煮え湯を飲まされ続けていただけに、大きな自信につながる一番となった

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横綱在位47場所、幕内優勝14回――。
2年連続学生横綱の実績を引っ提げて角界入り。
「蔵前の星」と将来を嘱望され、期待どおり、
“黄金の左”と呼ばれた左からの下手投げを武器に、
学生相撲出身初の横綱へと駆け上がった輪島。
ともに時代を築いた横綱北の湖ら
ライバルたちと繰り広げた激闘の数々は、
黄金の締め込みの輝きとともに
人々のまぶたに強烈に焼き付いていることだろう。
※平成28~30年発行『名力士風雲録』連載「ライバル列伝」を一部編集。毎週金曜日に公開します。

屈辱の逆転負けから
躍進の機を見たあの日
 
大関に同時昇進、「貴輪」(きりん)と称された人気者、輪島のライバルはいつも貴ノ花だった。輪島が貴ノ花に先んじて横綱になり、やがて北の湖が横綱になろうとするときも、まだ二人をライバル視する向きはなかった。潮目は昭和49(1974)年名古屋場所千秋楽、史上最年少横綱を目指して連覇を狙う北の湖に対し、本割、決定戦と輪島の“黄金の左”が炸裂、連続して同じ下手投げで撃退し、逆転V。これ以降、二人の対決は激しさを増していった。

 横綱に昇進後も北の湖は、大事な一番で輪島に阻止され続けた。昭和50年初場所千秋楽には横綱初Vを果たすも、寄り切りに敗れる。決定戦も含めると6連敗と、打倒輪島が大きな宿題として与えられた。

 ようやく雪辱を果たせたのは昭和51年初場所、63場所ぶりとなった横綱同士の千秋楽相星決戦だった。珍しく北の湖が頭をつけ、両廻しを引きつけて寄り切り、5回目の優勝が決定。宿敵を破り、大きな自信につながる一番となった。

 その昭和51年から52年にかけては、12場所すべて千秋楽結びの一番で激突。激しい火花を散らす、「輪湖黄金時代」を迎えた。互いに5場所ずつ賜盃を分け合い、翌53年からは北の湖独走時代に突入。しかし、最後まで、北の湖は輪島を対戦成績では追い抜けなかった。もし輪島がいなかったら、もしあの名古屋の屈辱の日がなかったら、優勝24回の大横綱に成長することはなかったかもしれない。それは輪島にとっても同じことだった。

『名力士風雲録』第8号輪島掲載




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