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2020-11-22

【相撲】相撲編集部が選ぶ11月場所千秋楽の一番

本割で敗れた貴景勝がギアを上げ、優勝決定戦で照ノ富士を押し出し2年ぶり2回目の優勝を決めた 

優勝決定戦
貴景勝(押し出し)照ノ富士

 優勝を争う2人が結びに組まれた千秋楽。本割で貴景勝が勝てば、すんなりと優勝が決まるが、照ノ富士が勝てば決定戦に持ち込まれる。

 まずは本割。大関復帰を目指す照ノ富士にとっては12勝と13勝では大きく違う。優勝はともかく、何が何でも勝っておきたい。

 軍配が返り、貴景勝が頭からぶつかり、突き放していったが、照ノ富士は下がらない。貴景勝は右から叩いて泳がすが、照ノ富士も踏みとどまり、互いの体が離れて様子を見る形に。照ノ富士は左から張って、すぐに右を深く差すと左も差してつかまえ、切り返し気味に浴びせ倒して、優勝決定戦に持ち込んだ。

 背中にべっとりと砂をつけて引き揚げた貴景勝は、「次は無心でぶつかっていこう」と心に決めて決定戦の準備。

 決定戦でも貴景勝は同じように頭から当たって突き放す。本割と違ったのは照ノ富士の上体が高く一歩後退したこと。貴景勝はそのままの勢いで前進し、一気に押し出した。

 敗れた照ノ富士は、「悪い癖が出ちゃったなあ。上体が高くなったかな」と悔しがる。ただ場所前の目標は三役での二ケタ勝利だった。「目標は達成できた。決定戦で負けたのは悔しいけど、来場所にぶつけていきます。悔いはないです」と語った。ヒザの状態が終盤までもつか心配されたが、「よくもったと思います」との言葉は本心だろう。2番続けての相撲で、ヒザが悲鳴をあげていたのかもしれない。

 2年ぶり2回目の優勝を果たした貴景勝は、「大関に上がってからあまりいいことがなかったので、もうひと踏ん張りしないといけないと思っていた。こういう結果で終わってよかったです」と安堵。

 横綱、大関が4人休場し、番付最上位の責任を果たすことができた。来年1月場所では初めての綱取りとなる。上位陣の休場でどうなることかと思われた11月場所だが、貴景勝、照ノ富士の頑張りで、最後まで手に汗握る面白い場所になった。

文=山口亜土


相撲 11月号 11月場所展望号(No.915) | BBMスポーツ | ベースボール・マガジン社

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