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2020-12-12

【箱根駅伝の一番星】2年連続総合3位へ 国学院大・中西大翔が箱根で全日本の雪辱を誓う

陸マガの箱根駅伝カウントダウン企画「箱根駅伝の一番星」は出場20校の注目選手を紹介。前回総合3位1年生ながら大きく貢献した中西大翔(2年)は、5000mと10000mで国学院大記録を更新。中心メンバーとして、再び総合3位へ挑む。

積極的に攻めて区間賞を

一つの判断ミスで順位がガラリと変わる。伊勢路で駅伝の怖さをあらためて痛感した。国学院大の中西大翔(2年)は、箱根駅伝では同じ轍を踏まないと誓う。

「びびったら勝てないです。積極的に攻めていかないと、区間賞は取れません」

 全日本大学駅伝の3区では、ほぼ同じタイミングでタスキを受けた早稲田大の中谷雄飛(3年)に一瞬で置いて行かれた。中西の入りの1㎞は2分45秒だったが、中谷は2分40秒だったという。

「自分では突っ込んだつもりでしたが、最初で5秒差をつけられました。これがトップレベルの駅伝の走り方なんですね。悔しい思いもしましたが、経験豊富な中谷さんの走りを体験できたのはよかった」

 名門で知られる佐久長聖高(長野)のエースとして、全国高校駅伝で活躍してきた中谷に対し、中西は金沢龍谷高(石川)時代はほぼ無名。全国レベルでの駅伝経験はないまま大学に入学した。前年度の三大駅伝はいずれも区間4位以内にまとめたものの、満足はできなかった。今年度は名実ともに学生トップランナーの仲間入りを果たすためにハイレベルな練習を積んでいる。

 2年生となり、チーム内での立ち位置も変化。前田康弘監督からは3年の藤木宏太に次ぐ、準エースとして信頼を寄せられ、大きな期待をかけられている。

「能力はほかのトップ選手たちと差はないです。足りないのは駅伝経験。大翔はやりますよ」

 伊勢路から戻り、少し調整して臨んだ八王子ロングディスタンスでは、その実力をしっかり証明する。10000mで狙いどおり、自己ベストを更新。国学院大歴代1位の28分17秒84をマークし、箱根に向けて順調な仕上がりぶりをアピールした。

 個人目標は言わずもがな。主要区間で区間賞を狙いに行く。

「2区、3区、4区。どこまでいけますが、適性があるのは4区だと思います。単独走も起伏のあるコースも得意です。持ち味をより発揮しやすいのかなと」

 4区には雪辱の思いもある。箱根デビューとなった前回大会は区間3位と好走しながら悔いを残した。区間新を出した青山学院大の吉田祐也(現・GMOアスリーツ)に突き離されたレースとして記憶されているのだ。

「同じ区間でリベンジしたい気持ちはあります。僕がもう少し走れていれば、往路優勝できたかもしれません(往路2位)。4区を走るなら、吉田さんの区間新を更新したい」

 目指すのは1時間00分30秒切り。強烈なインパクトを残し、チームに流れを持ってくるつもりだ。前年度に引き続き、視野に入れるのは総合3位である。全日本は9位に沈んだが、中西は落ち着いた口ぶりではっきり言う。

「自信はあります」

 箱根では静かに闘志を燃やす男が、国学院に火をつけてくれるはずだ。


なかにし・たいが◎2000年5月27日、石川県生まれ。167.5㎝・54㎏、A型。金沢緑中→金沢龍谷高(石川)。自己ベストは、5000m13分42秒24、10000m28分17秒84(共に2020年)、ハーフ1時間03分59秒(19年)。昨年度は、三大駅伝ですべて区間4位以内、今回の全日本は4区区間8位となった。中西のこだわりは「シューズをきれいに保管すること」(箱根駅伝2021完全ガイドアンケートより)。

陸上競技マガジン 1月号

文/杉園昌之

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