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2020-12-12

【アメフト】「最大のライバル」ミシガン大 vs オハイオ州立大戦が103年ぶりに行われず コロナで中止に

昨年のミシガン大対オハイオ州立大の一戦で、タッチダウンするオハイオ州立大のRB、JKドビンス。オハイオ州立大が56-27で大勝した=2019年11月30日、photo by Getty Images

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米カレッジフットボールで、「最大のライバル対決」として知られる、ミシガン大学対オハイオ州立大学(共にBIG10カンファレンス)の1戦が、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の蔓延によって中止となった。現地12月9日に、ミシガン大が中止を発表した。The Game と称される伝統の対戦が行われないのは、1917年以来103年ぶり。毎年、レギュラーシーズンゲームの最終戦で対戦しており、今年は現地12月12日(日本時間12月13日)にオハイオ州立大のホームでの開催が予定されていた。

ミシガン大のアスレチックディレクター、ウォルデ・マニュエル氏は、「この7日間、COVID-19陽性反応者の数は上昇を続けている。現時点では練習参加を許可されていない。残念なことに、陽性者と濃厚接触者の隔離が必要なため、我々はチームをフィールドに出すことができない」と中止の理由を語った。ミシガン大は前週のメリーランド大学との1戦(12月5日)も、COVID-19のためにキャンセルとなっていた。

カレッジフットボールでは、同じ第15週に予定されていたノートルダム大対ウェイクフォレスト大(9月から延期)、オクラホマ大対ウェストバージニア大、パーデュー大対インディアナ大、テキサス大対カンザス大、シンシナティ大対タルサ大が中止となった。COVID-19の影響で、今季100試合以上が中止となったという。シーズン終了後のボウルゲームもすでに16の大会が中止となっている。

対戦相手のオハイオ州立大は、今季5戦全勝で、CFP(カレッジ・フットボール・プレーオフ)ランキングで全米4位につけているが、今季の試合中止は3試合目。レギュラーシーズンは5試合で終了となった。CFPは全米王者を決めるために4校を選出する仕組みだが、オハイオ州立大の場合は、所属カンファレンスのBIG10で優勝することが「暗黙の了解」として4校に選ばれる前提となる。


今季のBIG10のレギュレーションでは、カンファレンス決勝戦に進出するためには、最少でも6試合を戦っていることを条件としており、オハイオ州立大のBIG10優勝の望みが断たれたかに思われた。しかし、過去6シーズンで3回CFPに進出していて、全米レベルの人気校であるオハイオ州立大「救済」のため、BIG10は今季の規約を緩和して、オハイオ州立大がBIG10カンファレンス優勝決定戦に進出することを認めた。次週12月19日に、オハイオ州立大はノースウェスタン大学とBIG10優勝をかけて争う。

昨年のミシガン大対オハイオ州立大のライバル対決で、パスを狙うオハイオ州立大QBジャスティン・フィールズ=2019年11月30日、photo by Getty Images
昨年のミシガン大対オハイオ州立大のライバル対決で、パスを狙うオハイオ州立大QBジャスティン・フィールズ=2019年11月30日、photo by Getty Images


一方、2勝4敗でレギュラーシーズンを終えたミシガン大は、ジム・ハーボウヘッドコーチ(HC)が就任以来初の負け越しシーズンとなった。NFLのサンフランシスコ・49ナースHCとして、スーパーボウル出場経験を持つエリート指揮官が母校に鳴り物入りで迎えられて6年目、二けた勝利シーズンこそ3回あったが、BIG10優勝は一度もなく、CFP出場もない。

今季は前週のメリーランド大戦が中止になった段階で、負け越しは決定しており、「ミシガンの関係者やファンが、カンファレンス優勝よりも重視する」と言われるオハイオ州立大とのライバル決戦に勝って、面目を保ちたいところだったが、無念の中止となった。

現在、ミシガン大は、ハーボウHCの5シーズンも含め、オハイオ州立大に8シーズン連続で敗戦している。

米紙USA Todayによると、ハーボウHCの年俸は805万ドル(約8億3700万円)で全米4位。金額の近い、3位のダボ・スィーニーHC(クレムソン大)、2位のエド・オージェロンHC(ルイジアナ州立大)が、共に全米王座を勝ち取っているのに比べ、実績面では大きく劣る。練習施設や選手のリクルート面などで、ミシガン大が他大学に劣っているわけでもない。ハーボウHCの契約は2021年までとなっているが、その去就に注目が集まっている。


 ◇ミシガン大学vsオハイオ州立大学

1897年10月16日に初対決、以来昨年まで116回の対戦を重ねてきた。通算成績はミシガン大の58勝51敗6引き分け※。1913年から5年間対戦がなかったが、1918年に復活後は、第2次世界大戦中でも中断されることはなく、毎年対戦を重ねてきた。奇数年がミシガン大のホームで、偶数年がオハイオ州立大のホームで開催されている。
2000年には、スポーツ専門局のESPNが「全スポーツを通じた、米国で最大のライバル」1位(2位は、ボクシングのモハメド・アリ対ジョー・フレージャー)と認定した。
対戦成績ではミシガン大が大きくリードしていたが、21世紀に入ってから19シーズンは、オハイオ州立大の16勝2敗※と一方的な勝敗となっている。2006年には両校が11戦全勝(当時の全米ランキングはオハイオ州立大が1位、ミシガン大が2位)で激突し、オハイオ州立大が42-39で競り勝った。この試合は Game of the Century 「世紀の対決」として全米中の話題を呼んだ。

※2010年のオハイオ州立大は、シーズン後に、NCAA規則違反で勝敗をすべて取り消されたために、両校の対戦成績にもカウントされていない。


ミシガン大とのライバル対決で、オハイオ州立大が56-27で大勝。歓喜の選手たち=2019年11月30日、photo by Getty Images
ミシガン大とのライバル対決で、オハイオ州立大が56-27で大勝。歓喜の選手たち=2019年11月30日、photo by Getty Images



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