ミドル級を主戦場にするふたりのスーパースター、サウル・”カネロ”・アルバレス(メキシコ)とゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)が連日で世界戦に登場する。アルバレスは20日にWBA世界スーパーミドル級スーパー王者カラム・スミス(イギリス)と対戦。その前日にはIBF世界ミドル級王者ゴロフキンが指名挑戦者カミル・シェルメタ(ポーランド)と防衛戦を行う。日本時間ではアルバレスの試合が20日、ゴロフキンは19日。いずれもDAZNでストリーミング中継される。ボクシング・マガジン1月号では、両試合の展望とともに、新たなフィールドに踏み出したミドル級ワールドを俯瞰している。 アルバレスの人気は圧倒的だ。それも当然かもしれない。スーパーウェルター級で初めて世界王者になると、ミドル級でゴロフキンと2度にわたる激戦(1勝1引き分け)を乗り越え、昨年秋には豪打のセルゲイ・コバレフ(ロシア)を豪快にKOしてライトヘビー級の世界王座をも手にした。そのアルバレスが今度はスーパーミドル級で登場する。対戦するスミスは191センチの長身から打ち下ろすシャープなパンチが光る。ここまで27連勝19KOをマークする30歳だ。この戦いにはスミスが保持するWBAスーパー王座とともに、空位のWBCタイトルもかけられている。
アルバレスがゴールデンボーイ・プロモーションから独立し、フリーエージェントになってから初めてのリング。そのあたりの事情を交えて展望する。
衰えたという風評をゴロフキンは打ち払えるのか プレビューはもうひとつ。ゴロフキンの戦いでは38歳の現況を確認したい。爆発的なパンチングパワーを手に一世を風靡したが、ここ最近は衰えの気配もささやかれている。世界的には無名ながら、21連勝不敗のシェルメタを相手に、健在ぶりをアピールできるのか。アルバレス、ゴロフキンが順当に勝ち抜けば、両者の第3戦は2021年の初夏にも実現する可能性もあるという。
さらに、カネロ、GGGの久々登場によって、ミドル級シーンは新たな扉が開かれる。難敵セルゲイ・デレビャンベンコ(ウクライナ)を一蹴して評価急上昇のジャモール・チャーロ(アメリカ)、それからデメトリアス・アンドレイド(アメリカ)、ハイメ・ムンギア(メキシコ)、もちろん、村田諒太(帝拳)も。このクラスのトップ戦線を走るスター選手に、これから台頭する若手の名前も加えて。ロサンゼルス在住の宮田有理子記者の手で、今後のミドル級も占っていく。
写真◎ゲッティ イメージズ