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2020-12-19

【ボクシング】新旧対決2番。35歳久高が新鋭・大橋に競り勝つ/3戦目の西田が大森を攻略

サウスポー相手に右をリードブローにして戦うのは、久髙得意の技

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 19日、エディオンアリーナ大阪第2競技場で行われたバンタム級8回戦は、元日本スーパーフライ級王者で現同級1位の久髙寛之(くだか・ひろゆき、35歳=仲里)がジャッジ3者とも76対75の2-1で、元全日本新人王の大橋哲朗(22歳=真正)に勝利。また、前座で行われた56.0kg契約8回戦は、3戦目の西田凌佑(24歳=六島)が元日本バンタム級王者で現日本スーパーバンタム級5位の大森将平(27歳=ウォズ)を79対73、78対74、78対74の3-0で攻略した。

 スピーディーな動きで仕掛けていくサウスポーの大橋に対し、ベテラン久髙は悠然と構えて右リードを連発。2回には右→左フックからの右ショートで尻もちを着かせた。

 昨年10月の日本ユース・スーパーフライ級戦で高山涼深(ワタナベ)と倒し倒されの激戦の末に敗れた大橋。その前戦が頭をよぎってもおかしくない展開だったが、久髙の連打をやりすごすと、ふたたび左ストレートを上下に散らして食い下がった。


大橋も左を決めて、必死に食い下がった

 しかし、これが49戦目となる大ベテラン久髙はしたたかだった。世界戦4度挑戦のキャリアもダテではない。右をヒットさせる間合いづくりに長け、腕と足のフェイントを織り交ぜながら、いつのまにか大橋の懐に入り込んでヒットしていった。

 そのまま流れは久髙にいくかと思われたが、大橋は執拗に粘る。久髙の入り際に左ストレートをヒット。7回には久髙がラッシュを敢行するも逆に左ボディストレートで久髙の動きを止めてみせ、最終回も連打でポイントを奪った。
 決め打ちの久髙、手数の大橋と判断が難しいものだったが、2回のダウン、そしてその印象も大きかった。


わずか1ポイント差! 敗れた大橋もポテンシャルの高さを示した

「来年はまたタイトルを目指したい」と意気軒高の久髙は、「大橋くんはこれからどんどん上がっていく選手だと思う」とエール。久髙の接近戦の巧さを体で覚え、これを吸収してほしい。
 久髙の戦績は49戦27勝(11KO)18敗4分。大橋の戦績は10戦7勝(2KO)2敗1分。


西田の右が再三再四、大森を捉えた

 互いの都合によって、再三延期されてきたサウスポー同士の一戦は、王寺工業高校→近畿大学とアマチュアキャリア豊富な元国体王者の西田が、わずか3戦目ながら見事なボクシングを披露した。

 世界挑戦経験もある大森の左ストレートに、立ち上がりから右フックのタイミングを計る。プレスを強めた大森に対しては、ジャブを丁寧に突いてコントロール。右ジャブでボディを刺すことも効果を高めた。
 西田のジャブに左クロス、さらにインサイドから突き上げる右アッパーカットを狙う大森も“片鱗”を見せたが、左の相打ちにも勝り、序盤から狙っていた右フックで、西田がポイントをリード。そればかりでなく、大森の警戒心を解かせなかったことが大きかった。

 前半から下半身が不安定な大森に対し、西田のそれは安定感があった。連打を打っても乱れない。その差も明暗を分けたように思う。

 左、右フック、左で大森を後退させるシーンを築いた西田は、最終回に左ボディアッパーで大森にダメージを与える。大森は、ビッグパンチで逆転を狙うものの、西田のリズム、ペースは変わらなかった。


一躍、注目選手に浮上した西田

 これで25戦21勝(16KO)4敗となった大森と、3戦3勝(1KO)とした西田。しかし、試合内容はまるで逆のような、西田の巧みさだった。

ボクシング・マガジン 1月号

写真◎石井愛子

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