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2020-12-19

【ボクシング】あす東日本新人王決勝 苗村と宝珠山が無敗で激突

フライ級の苗村修悟(右)と宝珠山晃

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東日本新人王決勝戦はあす20日、東京・後楽園ホールで行われる。ミニマム級からミドル級まで10階級(ライトフライ級とライト級は中止)の決勝進出者20人が、きょうの前日計量をパス。フライ級で無敗対決に臨む苗村修悟(SRS)と宝珠山晃(三迫)、スーパーフライ級の富岡浩介(REBOOT.IBA)がオンラインで会見した。

強打の苗村とスピードの宝珠山

苗村はこれまで4戦してすべてKO勝ち。うち3つが初回KOで、ここ2試合は1分以内で決着してきた即決型のファイターだ。生後間もなくから双子の兄とともに児童養護施設で育ち、「小6か中1のとき」坂本博之会長に素質を見いだされた。“平成のKOキング”と呼ばれた人気ボクサーの坂本氏は引退後、かつての自分と同じ境遇にある子供たちを励ますために全国の養護施設を訪問。初めてミットを受けてもらった苗村は、坂本会長の「優しくて、堂々としていて自信に満ち溢れた」姿に感銘を受け、プロボクサーを志した。25歳でデビューして以来、坂本会長ゆずりの強打で勝ち上がってきたが、「自分ではあまりKOにこだわっていない。結果としてそうなっただけ」と振り返る。

宝珠山は3戦全勝(2KO)、苗村を身長で9センチ上回るサウスポー。苗村が「離れて戦ったら勝負にならない。いかにして距離をつぶすか」とインファイトを期すのに対し、「自分の武器は足とスピード。でも接近戦になっても勝てるように取り組んできた」と、テクニックで迎え撃つ構えだ。

「施設には人生を諦めてしまう子が多いが、頑張り次第でいい方向に持って行けると思われるような存在になりたい」と苗村。特別な存在になれなかったアマチュア(日大)時代を払拭するような「熱い試合をしたい」と宝珠山。2つの願いがリングで交錯する。

異色のパンチャー富岡


スーパーフライ級の富岡浩介(左)と久保春平

4回戦で異彩を放ってきたのが18歳の富岡だ。兄2人と、いとこがボクサーという「富岡一族の最終兵器」(射場哲也会長)。憧れはナジーム・ハメドと話すとおり、ジュニア時代から注目を集めてきたそのスタイルは、相手を徹底的に翻弄するもの。ノーガードでことごとくパンチをかわしては派手な一撃を叩き込み、これまで4戦全勝(3KO)をマークしてきた。5勝(3KO)1敗の久保春平(宮田)とぶつかる決勝戦のテーマも「相手のメンタルを破壊する」と、童顔に似合わず怖いことを言う。

兄の達也は4年前、東日本新人王を獲るも全日本では敗退。「その借りを返したい」と言いつつも「世界を獲ってアメリカでも人気者になりたい」という富岡は、あすの試合も「いつもと同じ」と、通過点としか思っていない。

ボクシング・マガジン 1月号

写真/東日本ボクシング協会

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