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2020-12-27

【ボクシング】四国初の全日本新人王めざす福永宇宙がMVPに 西軍代表決定戦

12階級の新人王西軍代表

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新人王西軍代表決定戦が27日、大阪市のエディオンアリーナ大阪第2競技場で行われ、ミニマム級からミドル級まで12階級で代表の座が争われた。最優秀選手賞はスーパーバンタム級の福永宇宙(黒潮)、技能賞はミドル級の中田勝浩(井岡弘樹)、敢闘賞はバンタム級の冨田風弥(伊豆)が獲得。東日本新人王と雌雄を決する全日本新人王決定戦は2021年2月21日、東京・後楽園ホールで行われる。

メンタルでは負けない――福永宇宙


最優秀選手賞に選ばれたのはこの日、技術的に最も高い完成度を示したスーパーバンタム級の福永空宙。中日本代表の安西蓮を3回でストップし、デビューから最初の目標としてきた四国初の全日本新人王に前進した。「相手も強く、タイプが似ているので、自分との戦いになると思っていた」という福永。「メンタルでは負けない。恐れず前に出て、攻め続けることを意識した」と振り返るとおり、常にアグレッシブな姿勢を崩さず、安西のしぶとい抵抗を右ストレートで断ち切った。堂々のMVPにも「嬉しいが、結果でしかない」と浮かれず、「次(全日本の相手)は初のサウスポーだが、僕の強みを活かして戦いたい」と気を引き締めていた。

学生相撲出身の中田勝浩


技能賞はミドル級で逆転TKO勝ちした中田勝浩。サウスポー早川教文の先制攻撃に押されながら、ボディ一発で形勢をひっくり返した「粘り腰」は、東北大時代に4年間相撲部だったと聞けばなるほどだ。その割に体型はスリムだが、当時の体重も今と変わらず75キロくらいだったという。相撲と並行してボクシングも始め、大学卒業後はアルバイトをしながら実家に近い井岡弘樹ジムで週5回の練習に打ち込んできた。「一安心です。左の相手と練習できなかったが、(早川は)あまり左の感じがしなかった。距離詰めてきたから、ハマった」と、淡々と勝利を振り返る中田。全日本に向けても「またいつもどおり練習を始めたい。いい試合ができるよう頑張ります」と、控えめに抱負を語った。

異色の長身ファイター冨田風弥


バンタム級では冨田風弥が静岡の伊豆ジムに初の新人王をもたらし、合わせて敢闘賞も獲得した。このクラスにして身長181センチは驚異だが、さらにサウスポーでインファイトを挑んでくるという異質のスタイルも駆使して、西日本のMVP小林廉を攻め切った。「コンビネーションなど練習でやってきたことが出せた」と、作戦どおりの勝利に冨田が納得の表情を浮かべれば、山口裕司会長は「パンチも戦績(5勝2KO2敗)以上にあるんです」とにっこり。高校1年で入門後、すぐにジムを遠去かったが、卒業後に再開。温泉地の伊東から全国を転戦してキャリアを積んできた。全日本の舞台は、今度が3度目となる東京・後楽園ホール。「やっと“ホーム”に帰れます」と張り切る。

◆新人王西軍代表決定戦RESULTS

★ミニマム級決定戦4回戦
〇小島  蓮(江見)=西日本代表
【判定3-0:40対36×3】
●ヨッシャー松本(HEIWA)=中日本代表
※精力的に前進する小柄なサウスポー松本に、小島が的確な右ストレート、左フックのカウンターを好打した。

小島蓮
(こじま・れん)=岡山県出身/19歳/8戦5勝1敗2分

★ライトフライ級決定戦4回戦
△木村 彪吾(グリーンツダ)=西日本代表
【引分1-0:40対36、38対38×2】
△脇山  望(FUKUOKA)=西部日本代表
※足を使う脇山と飛び込んで右を打ち込む木村のペース争い。パワフルに攻めた木村の勝者扱い。

木村彪吾
(きむら・ひょうご)=大阪府出身/20歳/8戦6勝(1KO)1敗1分

★フライ級決定戦4回戦
〇神崎 靖浩(倉敷守安)=西日本代表
【判定3-0:40対36、39対37×2】
●鈴木 尊虎(トコナメ)=中部日本代表
※神崎の速いジャブ、ストレートに対し、鈴木も強い左ボディから上に返して対抗。足も使える神崎が幅の広さを示した。

神崎靖浩
(かんざき・やすひろ)=岡山県出身/20歳/7戦6勝(2KO)1敗

★スーパーフライ級決定戦4回戦
〇杉本 太一(勝輝)=西日本代表
【判定3-0:39対37×3】
●春原 青空(本田フィットネス)=西部日本代表
※杉本がもぐりこんでの強引な攻めで長身サウスポー春原を接近戦に巻き込み、スタミナで押し切った。

杉本太一
(すぎもと・たいち)大阪府出身/22歳/7戦6勝(1KO)1分

★バンタム級決定戦4回戦
〇冨田 風弥(伊豆)=中日本代表
【判定3-0:40対36×3】
●小林  廉(エスペランサ)=西日本代表
※身長181センチのサウスポー冨田が背をかがめて下からの連打で猛攻。止まらない手数で西のMVP小林を圧倒した。冨田は敢闘賞を受賞。


冨田風弥
(とみた・ふうや)=静岡県出身/22歳/7戦5勝(2KO)2敗

★スーパーバンタム級決定戦5回戦
〇福永 宇宙(黒潮)=西日本代表
【TKO3回2分56秒】
●安西  蓮(岡崎)=中日本代表
※今大会屈指の本格派、福永が速い上下のコンビネーションで攻め、安西も安定したフォームからワンツーで抵抗。3回に福永がボディで効かせ、右ストレートを直撃してダウンを奪う。再開後に詰め、再び右でよろめかせてストップ。福永は最優秀選手賞。

福永宇宙
(ふくなが・そら)=高知県出身/22歳/8戦8勝(4KO)

★フェザー級決定戦5回戦
〇福永  輝(沖縄ワールドリング)=西部日本代表
【KO5回2分39秒】
●三尾  翔(グリーンツダ)=西日本代表
※野性味たっぷりに攻めかかる福永が初回、肩越しの右を爆発させ三尾にヒザを着かせるが、もう一発右を叩きこんで減点。その後、三尾もジャブで立て直すが、最終回に再び福永の右で崩れ落ちカウントアウト。

福永輝
(ふくなが・ひかる)=沖縄県出身/22歳/9戦8勝(5KO)1敗

★スーパーフェザー級5回戦
〇福田 星河(エディタウンゼント)=西日本代表
【判定3-0:48対46×3】
●樋口 和輝(ARITOMI)=中日本代表
※変則ファイター福田が2回に右でダウンを奪うが、その後は両者上下にパンチを交換。終盤は福田が密着しての連打で押し切った。

福田星河
(ふくだ・せいか)=大阪府出身/21歳/5戦5勝(1KO)

★ライト級決定戦4回戦
〇戸川 叡二(姫路木下)=西日本代表
【TKO3回2分7秒】
●深川 隼人(本田フィットネス)=西部日本代表
※ともに長身のボクサー型。積極性にまさるサウスポー戸川が初回に左でダウンを奪う。3回も戸川の攻勢が続き、右フックが入ったところでストップ。

戸川叡二
(とがわ・えいじ)=兵庫県出身/23歳/9戦6勝(3KO)3敗

★スーパーライト級決定戦4回戦
〇高畠 愛大(タキザワ)=中日本代表
【判定2-0:39対37×2、38対38】
●高橋 良季(オール)=西日本代表
※ともに荒々しいパンチを叩きつけ合うが精度を欠き、クリンチの多い展開。最後まで攻め切った高畠がわずかにしのいだ。

高畠愛大
(たかばたけ・あいと)=愛知県出身/20歳/7戦6勝(1KO)1分

★ウェルター級決定戦4回戦
〇能嶋 宏弥(薬師寺)=中日本代表
【判定3-0:39対36×3】
●ビッグベイビー岡本(六島)=西日本代表
※アマ出身の能嶋がジャブとフットワークでさばき続け、3回には右ストレートでダウンも奪うが、岡本の懸命の前進は最後まで続いた。

能嶋宏弥
(のじま・ひろや)=富山県出身/25歳/6戦5勝(2KO)1敗

★ミドル級決定戦4回戦
〇中田 勝浩(井岡弘樹)=西日本代表
【TKO3回1分8秒】
●早川 教文(中日)=中日本代表
※サウスポー早川のパワフルな攻めに防戦一方だった中田が、3回に右ボディを効かせて逆襲。続く左フックでよろめかせ、連打でストップを呼び込んだ。中田は技能賞を受賞。

中田勝浩
(なかた・かつひろ)=大阪府出身/29歳/5戦5勝(4KO)

ボクシング・マガジン 1月号

文/藤木邦昭 写真/太田裕史

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