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2020-12-30

【ニューイヤー駅伝展望】戦力充実! 2回目の出場で頂点狙うGMOインターネットグループ

戦力充実で優勝を狙うGMOインターネットグループ。写真左から近藤、吉田、下田 写真/中野英聡(陸上競技マガジン)

1月1日に行われる第65回全日本実業団駅伝。旭化成が5連覇に挑み、それを阻むべく前回2位のトヨタ自動車、富士通らが立ち向かう。だが台風の目になりそうなのが参戦2年目のGMOインターネットグループだ。

福岡国際マラソン優勝の吉田を中心に
ロードに強い選手がズラリ

 前回は5位。2区のインターナショナル区間で12位にまで落ちたものの、他区間では安定して上位でレースを進めた。初参戦での結果としては上出来と言えるが、「優勝を狙っていただけに喜べない結果」と花田勝彦監督はレース後に笑顔を見せなかった。

 今大会は前年以上の戦力が整っている。11月の東日本実業団駅伝(以下、東日本予選)は主力を欠きながらも2区間で区間賞。最終7区で富士通に引き離されたものの、最後まで優勝争いに加わり、2位で全日本実業団駅伝(ニューイヤー駅伝)へ駒を進めた。

 核となる選手は多いが、存在感を見せているのが1年目の吉田祐也(※)だ。前回の箱根駅伝4区で区間新記録を樹立し、優勝に貢献。直後に走った2月の別府大分毎日マラソンで初マラソン日本歴代2位となる2時間08分30秒をマークした。GMOインターネットG加入後もマラソンを見据えたトレーニングを続け、12月の福岡国際マラソンを日本歴代9位タイの2時間07分05秒で制している。そこから約4週間でのレースとなるが、調整も順調にきており長距離区間で力を発揮しそうだ。

 また東日本予選を欠場した一色恭志、橋本崚も不調が原因ではなく花田監督によれば「ニューイヤー駅伝に向け、トレーニングを積むため」。一色は11月の八王子ロングディスタンス10000mで自己ベストを更新するなどスピード強化が形となって表れている。東京五輪男子マラソンの代表候補選手(補欠)の橋本も好調を維持しており、元日はメンバーに入りそうだ。この主力2人が加われば東日本予選以上の戦力となることは間違いない。

 他にも下田裕太、渡邉利典、林奎介らが箱根駅伝で区間賞経験があり、駅伝の走り方を知っている選手が多いのがこのチームの特徴。2月の東京マラソンでは下田、一色が2時間7分台、倉田翔平も2時間8分台で走り、吉田以外もマラソンで結果を残している。2019年ドーハ世界選手権男子マラソン代表の山岸宏貴も控えており、全体的にロードで力を発揮する選手が多いが、トラックでも近藤秀一が今季、5000mで13分36秒19と自己ベストを20秒以上更新した。東日本予選も1区区間2位と好走しており、スピード区間で流れを引き込める力がある。

 不安材料があるとすれば2年目で箱根駅伝3区・前区間記録保持者の森田歩希が今季、試合で力通りの走りができていない点か。ただトレーニングの消化自体には問題がなくここまできているとのこと。前回のニューイヤー駅伝では3区区間7位ながら6つ順位を上げ、チームに勢いをもたらした。今季は他の選手が好調だが、森田がメンバー入りするようであれば一気に戦力は厚みを増す。

「目指すのは優勝だけです。他チームも力を上げていますので、最後まで気を抜くことなく準備し、元日に最高の走りができるように目指します」と花田監督。

 チームポリシーである「No.1」を手にすることができるか。注目だ。

※「祐也」の「祐」は「示」へんに「右」

陸上競技マガジン 1月号

文/加藤康博

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