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2021-01-01

【ボクシング】4階級制覇は俺だけの栄光! 井岡一翔が田中恒成を痛烈にTKO

正確でタイムリーな左ジャブ。井岡(左)はこのパンチで戦いをコントロールし続けた

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4階級制覇王者に3階級制覇の挑戦者が争う注目の対決、井岡一翔(31=Ambiton)対指名挑戦者1位、田中恒成(25=畑中)のWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦は、31日、東京・大田区総合体育館で行われ、井岡が8ラウンド1分35秒TKO勝ちを収めた。得意の左ジャブでペースを作った井岡は2度のダウンを奪い、このラウンド、左フックを痛烈に決めたところでレフェリーがストップをかけた。2度目の防衛に成功した井岡は海外進出の本格化、さらなるビッグマッチ実現をアピールした。

ベテランの自在の攻防に酔いしれた

 これが大人のボクシングに味わいである。いや、正しくは凄味である。どんな状況にあっても、自らの肉体と心の成り行き、対戦者の出方を冷静に受け止め、最善の守りと、鋭い攻めとの間を順に折り返していく。一見して派手さは見えなくとも、井岡のボクシングの本領が存分に発揮される。描いた青写真のとおり、一度たりとも主導権を譲らぬまま、劇的なストップにまでこぎつけた。若い田中は自慢のスピードは空回りし、パワーショットも見透かされ、アリ地獄に足を取られたかのように敗勢へと引きずり込まれていった。少なくともスタンドに用意された記者席からは、そういう戦いに見えた。

「世代交代」を旗印にリングに立った田中は、のっけに小さなヤマ場を作る。ファーストゴングが鳴って間もなくだ。井岡の肩越しに右ストレートヒットさせた。わずかにたじろいだ井岡はロープ伝いに後退していく。田中はここで詰め切れない。些細な出ばなのひとコマながら、もっと井岡を慌てさせることができなかったことが、その後の成り行きを決めてしまったのかもしれない。

ボクシング・マガジン 1月号

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