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2021-01-30

【第93回センバツ出場校の指導法】長崎県立大崎高校Part2 投球フォームのチェックポイントC、D

長崎県立大崎高校・清水央彦監督に聞く練習メソッドPart2では投球時のステップ脚、軸脚の技術を紹介する。



 投球フォームのチェックポイントC 
3.非投球側脚(右投手の左脚)
「締めて乗せる技術」
オーバーハンドの場合、投球方向に真っすぐに重心移動を行うため、左脚を体に近い直線上を通していく。つま先が二塁側、カカトが投球方向を向きながら、体重移動のスイッチを入れたら一気に重心を落としていく。

●ステップ脚(右投手の左脚)

 ステップ脚は「締める技術」が大事になります。オーバーハンドの場合、重心は投球方向に真っすぐに進めればいいので、軸脚で立った体勢からステップまで左足を一直線に動かしていきます。左足を体に近い真っすぐのライン上に進めていくには股関節を締めながら並進移動していくことがポイントになります。左足のカカトを捕手側に、つま先を二塁側に向けながら体重移動するようにします。

 ポイントはステップ脚に「乗せる」感覚をつかむことです。片脚立位姿勢で体重移動のスイッチを入れて落下スピードを得たら、一気に左脚に乗せていきます。このとき、前に乗せていきたいのに軸脚のヒザを折って重心を軸脚に残そうとすれば重心の落下スピードを投球に生かせません。フォロースルーで重心を左脚に乗せ切る形を大事にします。

 高校生投手に多いのは軸足で立った状態から左足が体軸に対して弧を描くようにしてステップに向かう動きです。その動きでは左ヒジを回して使うのと同じように早い開きにつながりますし、リリースに向けて上体が一塁側に倒れ、ステップ脚に乗り切らない原因になります。

 逆にスリークオーター、サイドスローの投手は、あえて左足が弧を描く使い方をしていきます。




 投球フォームのチェックポイントD 

4.投球側脚(右投手の右脚)
「残す技術」

「乗せる」技術を身につけた上で、最終的には最も力を発揮しやすい姿勢であるパワーポジションを軸脚からステップ脚へ移行できるように、並進移動に移る一瞬で「残す」動きを入れる。具体的には軸脚の足首からヒザを垂直に立てる動き。

●軸脚(右投手の右脚)

 投球フォームは、最終的に最も力を発揮しやすい姿勢であるパワーポジションを右から左に移せるようになることが理想だと思っています。「軸脚のパワーポジション」は片脚立位姿勢から体重移動を始める前の一瞬でつくります。ステップ脚に「乗せる」ことができるようになった選手は、軸脚に「残す」技術を身につけていきます。

 投球フォームは軸脚で立った姿勢からバランスを崩してステップ脚へと重心を移し替える動作ですが、片脚立位姿勢からそのまま崩してステップ脚側に向かうのではなくて一瞬、軸脚側に崩すことで軸脚の伸展が使えるようになり、さらに重心移動に勢いを得ることができます。具体的には右足から右ヒザまでを一瞬、垂直に立てる技術です。これができると打者の手元でのキレが出てくると思っています。

 また、私の経験則では、この軸脚の動きは左投手が行うと、かえってパフォーマンスが落ちる傾向がありますので、右投手にのみ伝えるようにしています。

●投球側腕(右投手の右手)

 右腕→左腕→左脚→右脚の順に動作を身につけたら、最も感覚が優れている利き腕で全体的なバランスを取り、最終的な調整を行います。初めのトップを確認する段階ではテイクバックの大小は気にしないと言いましたが、ここでフォームを全体的に見て、テイクバックを大きくしたり小さくしたりします。

Part3はこちらから
Part1はこちらから

【2020年2月号ベースボールクリニック掲載】

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