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2021-01-30

【ボクシング】「宮古島へ、いい報告を」川満俊輝がワンパンチで6連勝

6連勝を飾った川満(写真/船橋真二郎)

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いい報告を届けたかった――。29日、東京・後楽園ホールで行われたフライ級8回戦で、川満俊輝(三迫)が安藤教祐(KG大和)に1ラウンド46秒TKO勝ち。沖縄・宮古島出身、25歳のイキのいいファイターが右のワンパンチで鮮やかに試合を終わらせ、2018年11月のプロデビューから6連勝(3KO)を飾った。

2週間前に決まった代理出場

安藤をロープ際に追い詰めた一瞬だった。目線を下に向けながら、右をクロス気味に打ち抜くと、2019年のライトフライ級東日本新人王はその場に崩れ落ち、レフェリーが即座に試合を止めた。川満はこれで3連続KO勝ちも「一撃で倒したのは初めて。嬉しい」と笑顔。「試合まで(準備期間が)短かったので、少し不安もあったけど、ホッとしました」と、また満面の笑みを浮かべた。

2週間前に急きょ決まった試合だった。ジムメイトで同い年の長谷部守里(日本ミニマム級16位)が出場できなくなり、代打出場の打診に即決した。ケガにコロナ禍が重なり、ブランクをつくっていた長谷部にとって、1年9ヵ月ぶりのリングになるはずだった。

「いちばん悔しいのはシュリ。その思いも背負って、思いきりやろうと思った」

折しもこの日、沖縄県が宮古島地域への陸上自衛隊の災害派遣要請を表明するなど、故郷の新型コロナウイルス感染は急拡大し、深刻な状況が続いている。家族はもちろん「島全体が心配だったので、いい報告を届けたかった」の思いも胸に秘めていた。

宮古島トリオで切磋琢磨

昨年の大晦日、5回TKO勝ちでWBOアジアパシフィック・バンタム級王座を奪取した元WBC世界フライ級王者の比嘉大吾(Ambition)は沖縄・宮古工業高の同級生。「ダイゴも吹っ切れた感じがしたので、自分も頑張ろうと思った」。

来月2月21日には、ジムメイトで同郷、同い年の狩俣綾汰(5戦全勝3KO)が、全日本ライトフライ級新人王決定戦を控える。「これでリョウタにも『全日本、頑張れよ』ってメッセージを送れたと思う」。

狩俣は宮古総実高出身だが、同校は宮古工業高ボクシング部の道場で、元プロボクサーの知念健次監督のもと、合同で練習に励んできた。比嘉、川満、狩俣は高校時代、ともに汗を流し、切磋琢磨し合って、宮古島からそろって全国大会出場を果たした仲間だった。

比嘉から川満が受け取り、川満が狩俣につなぎ、故郷の宮古島へ、いいニュースを届け続ける。

取材・文◎船橋真二郎

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