第55回スーパーボウル
タンパベイ・バッカニアーズ(NFC)対カンザスシティ・チーフス(AFC)
(2021年2月7日、米タンパ、レイモンド・ジェームス・スタジアム)
今回出場する両チームは、強力なパスオフェンスを有して高い得点力を持つという点などが似通っている。バッカニアーズとチーフスを戦力面から比較してみた。
両チームの主なチームスタッツ
移籍組ベテランと生え抜き若手、攻守にタレント揃い…バッカニアーズ
QBトム・ブレイディが、過去10シーズンで勝ち越し2回、二桁敗戦6回という弱小チームを、移籍1年でスーパーボウルに導いたという見方がある。勝敗を見ればその通りだが、戦力面から考えた場合、弱小チームという表現は必ずしも正しくない。
今季、NFLのTEとしてパスレシーブの記録を塗り替えたトラビス・ケルシー、NFLで最も俊足と言われるWRタイリーク・ヒル。サイズとスピードという、異なる長所を持つ二人は、ディフェンスにとっては悪夢のデュオだ。
マホームズは得点力やビッグプレーばかりが注目されるが、特筆すべきはターンオーバーの少なさだ。昨年、今年とインターセプト率は2年続けて1%、パス100回で1回しかインターセプトされないということだ。
連覇を狙うチーフスQBマホームズ=photo by Getty Images
気になるのは、OLだ。LTエリック・フィッシャーがAFCチャンピオンシップで、アキレス腱を断裂する重傷、スーパーボウル出場は不可能となった。今季中盤には、ルーキーシーズンから7年半134試合連続で先発出場中だった、RTミッチェル・シュワルツが背中の負傷でIR入りしている。昨年のスーパーボウル優勝時の左右のTがいない状態だ。
マホームズのシーズン中の被サックは22だが、前述のようにリーグ4位のサック数を誇るバッカニーズのパスラッシュを制御できるか、カギになる。
課題だったランは、ルーキーRBクライド・エドワーズヒレアーがスーパーボウルには本格復帰できそうなのは好材料だ。レギュラーシーズンのランはリーグ16位、ランTDは22位と苦戦した。ディビジョナルラウンドで、脳震とうとなったマホームズには、ランプレーはコールしにくい。
チーフスTEケルシー=photo by Getty Images
ディフェンスは、ラン21位、パス14位と、リーグ平均値に近いが、インターセプト16はリーグ5位タイ。ブリッツを駆使し、積極的に仕掛けるディフェンスで勝負所を締める。
プロボウラーのDLクリス・ジョーンズ、フランク・クラークがDLの軸。小柄ながら、動物的な動きでボールを奪う「ハニーバジャー」タイラン・マシューが6INT、チームのタックルリーダー、ダニエル・ソーレンセンが3INTと2人のSがパスディフェンスのカギを握る。
◇ ◇ ◇
過去の両チームの対戦は、歴史的なつながりがほぼないためか、今世紀に入ってからは、4年に1度のローテーションで米大統領選挙の年に対戦している。過去5試合はバッカニアーズの4勝1敗だ。
直近では今シーズンの11月29日に、スーパーボウルと同じレイモンド・ジェームス・スタジアムで対戦し、27-24でチーフスが勝った。ちなみに、今回のスーパーボウルでは、初めて女性のオフィシャル(審判員)として、ダウンジャッジにサラ・トーマスが入るが、トーマスは、11月29日の試合もダウンジャッジとして裁いていた。
「スーパーボウルウィーク無し」はどう響く
チーフスの2年続けてスーパーボウル出場は、経験という意味では、バッカニアーズに比較して有利だ。ただ今回のスーパーボウルは新型コロナウィルス感染症の蔓延で、いわゆる「スーパーボウルウィーク」が実質的になくなった。
通常であれば両チームが1週間前に開催地に移動し、さまざまなメディア対応やスポンサーイベントに追われる。そのお祭り騒ぎの中で、いつもの自分を見失う選手も多い。それがゲームの結果にも微妙に影響する
今回はイベントはキャンセル、メディア対応は基本的にオンラインとなった。初の本拠地開催のバッカニアーズには移動がなく、チーフスも試合前日に現地入りするという。
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