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2021-02-11

【ボクシング】注目の一戦は丸田が勝利。佐川を7回TKOし新チャンピオン!

179cmの長身から左を打ち下ろす丸田

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11日、東京・後楽園ホールで行われた、『第41回チャンピオンカーニバル』中、注目の一戦、日本フェザー級タイトルマッチ10回戦は、挑戦者1位の丸田陽七太(23歳=森岡)が、王者・佐川遼(26歳=三迫)を7回2分57秒TKOし、新チャンピオンとなった。

 5回終了時の公開採点は48対47、49対46が二者と、いずれも丸田を支持。佐川のチーフを務める加藤健太トレーナーは、「1ポイントしか取れていないのはどうかと思ったけれど、リードされているのには驚かなかった」という。


王者・佐川(左)は、タイミングを変化させた右で、再三丸田をのけ反らせた

 だが、記者席から見ている感覚では意外な採点だった。ラウンド中の大半、佐川がペースを握り、終盤に丸田が印象的なブローを一撃決める。そういうラウンドが繰り返された。ジャッジは丸田の一発の効果を評価し、ポイントを与えた。佐川にとっては、やや気の毒なジャッジメントだったように思う。

 残り半分で4ポイント取ってようやくドロー。重圧は相当だったはずで、前がかりの姿勢がさらに強くなった。そこで7回に痛恨のダウン。右スイングをかわされたところへ、丸田の右がカウンター気味に入ってのものだった。立ち上がった佐川を、丸田は一気に攻める。ニュートラルコーナーを背負わせての左フックを効かせた丸田は、さらにワンツーから左フック。レフェリーが割って入ると同時に、佐川は崩れ落ちた。


丸田は見事な詰めを見せて、ストップに持ち込んだ

「展開的には3分の2が想定内。残りが想定外」と新チャンピオンとなった丸田。佐川に攻めさせてカウンターを狙う“カタチ”は、思い描いていた展開。「パンチを貰いすぎた」というのが予想外ということなのだろう。佐川は緩急をつけ、タイミングをずらしながら、上下に散らしてうまく攻めた。元来がカウンターボクサーの丸田は、どうしても受け身になりがちで、リターンがワンタイミング遅れる。技術では王者が1枚上手の印象だった。

 しかし、2回の接近戦での離れ際に決まった丸田の左フック、3回終了ゴングと同時の丸田の右リターン。いずれも佐川の気持ちが一瞬緩んだところでのダメージングブローはポイントにつながり、パワーアップした丸田の姿を示したものだった。
 右を叩きつけておいての左フックは、折々で効果を上げた。「左の印象が強かったので、右を練習した」(丸田)その成果があったからこそ、つないで放つ左も生きた。


佐川のパンチを何度も貰っていたが、腫れなど見られない、綺麗な顔のままの新チャンピオン

「効いたパンチもあったし、ギリギリの戦いでした」と新王者。そういう戦いに勝利できたことは、このホープにとって、とてつもなく大きい。

 森岡ジムからは、1993年にスーパーフェザー級王者となった真野功以来、2人目の日本王者。「6歳からジムに通って来ていた陽七太がチャンピオンになったことは、本当に感慨深いです」と森岡和則会長。丸田は、メキシコ五輪バンタム級銅メダリストで先代の故・栄治会長最後の教え子でもある。

 丸田の戦績は13戦11勝(9KO)1敗1分。3度目の防衛に失敗した佐川の戦績は12戦10勝(5KO)2敗。

文_本間 暁 写真_小河原友信

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