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2021-02-28

【ボクシング】力の差を見せつけた! カネロ・アルバレス、イルディリムを棄権TKO

アルバレスの右がイルディリムを襲う。まさに思うがままの戦いだった(Photo:Ed Mulholland/Matchroom Boxing USA)

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 全階級を通じてナンバーワンと評価されるWBC・WBAスーパー世界スーパーミドル級チャンピオン、サウル・“カネロ”・アルバレス(メキシコ)は27日(日本時間28日)、アメリカ・フロリダ州マイアミ・ガーデンズのハードロック・スタジアムでタイトルマッチ12回戦を行い、アブディ・イルディリム(トルコ)を3ラウンド終了TKOに破り、王座防衛に成功した。

何もできない挑戦者側があっさり棄権

 カネロはとことん強かった。掛け率50対1。あらかじめ楽勝が予想されたカードであったとしても、WBCランキング2位の指名挑戦者に何もさせないまま打ちのめし、早々と棄権に追い込んでしまった。

 ガードを固め、カネロと正対するイルディリムは、そのままプレッシャーをかけたいところだったが、カネロの速いボディワークとポジショニングに、パンチを出すことさえままならない。1ラウンド、長い左ボディフックでやすやすとペースを奪い取ったカネロは2ラウンドには、たくみな左右アッパーを打ち込んでいく。

3ラウンド、きれいなワンツーストレートでダウンを奪ったカネロ(Photo:Ed Mulholland/Matchroom Boxing USA)

 そして、3ラウンド、カネロは見事なワンツーでトルコ人を打ち倒す。生涯2度目のダウンから立ち上がったイルディリムに対し、カネロは無理なく、追撃をかけていく。挑戦者は倒れこそしなかったが、左フックを打ち込まれるごとに、体をブルっと震わせた。ラウンド終了ゴングに逃げ込んだ後、セコンドが棄権を申し出て、試合は終わった。あからさまな力量差を見れば、あっけなくても賢明な判断だったように見えた。

「どうだ。素晴らしかっただろう」と余裕しゃくしゃくの表情で語ったカネロは、次は5月8日にリングに立つ。プロモーターのエディ・ハーンが明らかにしたところでは、対戦者はWBO王者のビリー・ジョー・サンダース(イギリス)。場所はラスベガスかテキサス州アーリントンのどちらかになる模様だ。サウスポーのサンダースは距離、間合いの作り方が秀逸なだけに、カネロにとっても楽な戦いにはならないはず。今から注目したい。
アロヨの左アッパーがヒット。一方的なTKO勝利で悲願の世界タイトルにたどり着く(Photo:Ed Mulholland/Matchroom Boxing USA)
アロヨの左アッパーがヒット。一方的なTKO勝利で悲願の世界タイトルにたどり着く(Photo:Ed Mulholland/Matchroom Boxing USA)

フライ級のWBC暫定王者にアロヨ

 セミファイナルに組まれたWBC世界フライ級暫定王座決定戦12回戦では、マクウィリアムス・アロヨ(プエルトリコ)がアブラハム・ロドリゲス(メキシコ)に5ラウンド1分41秒TKO勝ちを収めた。

 ダイナミックなボクシングが持ち味の正規王者フリオ・セール・マルチネス(メキシコ)が防衛戦でアロヨと対戦するはずだったのだが、直前、古傷を痛めて出場をキャンセル。急きょ、ロドリゲスが代役に起用された。

 そういういきさつでは仕方ないのかもしれないが、ロドリゲスはまったく精彩がない。激しくプレスをかけてくるアロヨに対して、後退する一方。狙うカウンターも切れがなかった。アロヨは力強いパンチを存分に叩き込む。4ラウンドには右アッパーのボディブローでダウンを奪い、続く5ラウンドもロドリゲスは下がる一方。ここでセコンドが棄権を申し出て、レフェリーガストップをかけた。

 アマチュアの世界チャンピオンからプロに転向したアロヨは2度の世界王座チャレンジに失敗。2018年には井岡一翔(現Ambition)に完敗うぃ喫している。苦労の連続だったが、かりそめでも、プロ12年目で初めて世界タイトルをつかんだことになる。

アロヨの左アッパーがヒット。一方的なTKO勝利で悲願の世界タイトルにたどり着く(Photo:Ed Mulholland/Matchroom Boxing USA)
東京五輪への出場権を捨ててプロ入りのデービスがデビューを飾る(Photo:Ed Mulholland/Matchroom Boxing USA)

 前座にはライト級のホープ、キーシェーン・デービス(アメリカ)がデビュー戦(4回戦)を行い、レスター・ブラウン(バハマ)に2ラウンド2分50秒TKO勝ちしている。2019年の世界選手権2位のデービスは、東京五輪代表を確実にしながら、突如、プロに転向した22歳の逸材。スピーディーな動きから、バリエーション豊かなブローを繰り出す。2ラウンド、叩きつけるような右パンチでダウンを奪い、直後の連打でけりをつけた。
パワーファイトでモラガ(左)を粉砕したカストロ(Photo:Ed Mulholland/Matchroom Boxing USA)
パワーファイトでモラガ(左)を粉砕したカストロ(Photo:Ed Mulholland/Matchroom Boxing USA)

 また、スーパーフェザー級4回戦に出場した元世界ユース選手権優勝のマーク・カストロ(アメリカ)はジョン・モラガ(アメリカ)をオープニングヒットのジャブで倒したのを手始めに、右クロス、左フックとダウンを積み重ね、2ラウンド2分29秒TKO勝ちを収めた。こちらはパワーファイターで、力づくなのは気になるが、これで2戦2KO勝ちとなった。

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