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2021-03-18

【女子ボクシング】花形冴美、ドロー防衛でチャンピオンのまま引退

花形進会長(左)、JBC審判員でもあるご主人の岡庭健さん(右)と防衛の喜びを分かち合う花形冴美

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18日、東京・後楽園ホールで行われたIBF女子世界アトム級チャンピオン花形冴美(36歳=花形)対挑戦者同級6位・松田恵里(26歳=TEAM 10COUNT)のタイトルマッチ10回戦は、引き分けで花形が2度目の防衛に成功した。花形は公言していたとおり、この試合を最後に引退。松田は5戦目での世界奪取を阻まれた。

 試合終了のゴングとともに、花形は万感の笑みを浮かべた。「全く意識していなかった」判定は、ジャッジ1人が4点差で松田を支持し、残る2人はドロー。チャンピオンのまま、悔いを残すことなくボクシング人生を終えた。

 最後と決めて上がったリング。緊張に襲われ、「楽しんでやりたい」の思いは果たせなかったという花形だが、気持ちが吹っ切れた後半からは「今までの壁を乗り越えられた」と振り返る。休まず手を出し、10歳年下の挑戦者を追い回した。

「世代交代」を期した無敗の松田も、この日は身上のフットワークに依存せず、相手の土俵で足を止めて打ち合った。練習してきたとおり、接近戦でも高度な技術を発揮したが、「気持ちが先走っていた」。強引さも交えて攻勢をアピールするベテランの花形に対し、「正直すぎたかもしれない」と認めた。戦い終えて、松田にも勝利への確信はなかった。

 試合後のリング上で「強かったね」と松田を称えつつ「そんなに簡単に世界チャンピオンにはさせないよ」と伝えたという花形。師である花形進会長と同じ5度目の挑戦で世界王座を手にした苦労人チャンプは「そういう経験をしたからこそ強くなれる。頑張ってほしい」と松田にメッセージを残し、自らは小学校の教員という新たな目標に向かう。

文/藤木邦昭 写真/馬場高志

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