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2021-03-25

【プロレス】元力士・樋口は“天龍さんタイプ”…秋山が語った「外様で構わない」

KO-D無差別王者の秋山

KO―D無差別級王者・秋山準と樋口和貞のタイトルマッチに激闘の予感が漂う。2人は3・28後楽園で同王座を懸け激突する。

 昨年より全日本からDDTにレンタル移籍となっていた秋山だが、今年の2・14川崎で遠藤哲哉からKO―D無差別を獲得。DDTの頂点に立った翌日には同団体への正式入団およびヘッドコーチ就任が発表された。そこに、敢然と“NO”を突きつけているのが樋口。

 樋口は一度、シングルリーグ戦「D王GRAND PRIX」公式戦で秋山から勝利を飾っている。しかも、4分3秒という“秒殺”とも言える短時間で圧倒。ブレーンクローから秋山を押し倒し、そのまま3カウントを奪った。この敗北ゆえ、秋山は初防衛戦の相手に樋口を指名。勝って防衛するまでは…と、いまだ腰にKO―D無差別を巻いてはいない。

 樋口の“反・秋山”の姿勢は明確で、DDTに入団したことやヘッドコーチ就任も「気に食わない」と反抗し続けている。すでにタイトルマッチに向けた闘いはすべて終わり残すは28日の本番のみだが、両者は常に緊張感を伴った殺気立った闘いをタッグで、6人タッグマッチでと3・14後楽園、3・19名古屋、3・20大阪と続けてきた。3戦を見た記者の印象は、樋口が圧倒気味からの五分五分。世代も違う両選手(秋山は51歳、樋口は32歳)ながら、じつに熱のこもった闘いで3・28後楽園への期待値を上げて来た。

 秋山にとって樋口は竹下幸之介、遠藤に続くDDTで本格的に激突する3人目の選手ということになる。樋口は元大相撲力士で、数々の力士経験者とも闘ってきた秋山はそのタイプを「天龍(源一郎)さんとか、そっちのほう。天龍さんは違うと言うかもしれないけど、感じ的には天龍さんの方向」と分析。3月16日におこなわれた会見では「(相撲出身者のレスラーは)どっちかに分かれるんですよ。のらりくらりやってるか、それか思いっきり勢いよく来るか。彼は勢いよく来るほう」と語っていた。“勝負できる敵”と認めたからだろう。秋山は反発する樋口に対し、こう語った。

「みんながみんな(自身の入団などを)OKじゃなくて、ああいうヤツもいていい。どっちかと言ったら、俺は若い頃、ああいうタイプだったと思うからね。いままでの竹下、遠藤とは違ったタイプ。俺は歳もあるんだろうけど、そこまでのイライラはないけど、若い頃を思うと先輩もキリキリしてたろうなと思う。(3・14)後楽園で、コイツは勢いで言っているだけじゃなく、いろいろちゃんと考えてるんだな…というのが動きでわかった。しっかり考えてるのはわかったから、なおさら俺もしっかりやらないとな、と思ったね」

 樋口は秋山を“外様”と表現し、DDT愛を口にしてもいるが、それに関してはこう切り返す。

「外様っちゃ外様だろうからね。別に俺も所属にならせてもらったとはいえ、あまりそこに染まることがないから。いつもどこにいても、俺はずっと前からそうなんだけど。だから外様と言われれば外様かな。できれば、俺はずっと外様みたいな感じでいたいなと思うしね。中にどっぷり浸かりたいとも思ってないし、外様なら外様で構わない。ちょっと距離を置いたところからいろいろみんなを見たいし、自分のこともそう。個人、というほうが強いかもわからないですね。俺だけじゃなくて、アイツ自身もDDTに染まるんじゃなく、いち樋口和貞として確立できるように。今回がその始めになればいいんじゃないかな。いまはいい雰囲気を持っている? 以前の彼は知らないけど、いまの雰囲気がいいというのであれば、それをずっと通すべきだよね」

 その言葉からもわかるように、秋山の樋口に対する期待は大きい。だからこそ、まだまだ“樋口の知らない秋山準”を見せつけ、リベンジを果たすとともにベルトを腰に巻いた自身のチャンピオンロードをスタートさせようとしている。

「ガタガタとアイツとは言い合ってきたけど、そこはリング上で勝負をつける。最後俺が勝って“わかったな!”“はい!”と言わせますよ。そのかわり俺が負けた時は好きなようにすればいい。俺がヘッドコーチだったとしても、好きなようにやればいい。でも、屈服させる。ああやって来るヤツはね、首根っこを押さえつけて『わかったかコラ!』って言わないと気が済まない」

 秋山はDDTに、プロレスの本道を叩き込まんとしている。樋口は樋口で、DDTで培った本道に自信を持っている。似て非なる2つの本道がぶつかった時、DDTに何が生まれるのか。変貌の予兆が見える現在のDDTだからこそ、3・28後楽園はプロレスファンに響いてほしい。

<週刊プロレス・奈良知之>

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