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2020-09-15

スマイルスポーツ・アスリートインタビュー【レスリング】川井梨紗子が語る東京2020オリンピック「自分の力を出し切れば乗り越えられないものはない」

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日本のお家芸とも呼べる女子レスリングのエースとして、オリンピック連覇の期待がかかる川井梨紗子選手。大きな注目を集めた伊調馨選手との代表争いを制して切符をつかんだ東京2020オリンピックが延期となり、どんな時間を過ごしていたのか? 伊調選手との激闘、そして2度目のオリンピックへの想いをスポーツ情報マガジン『スマイルスポーツVol.83』で語ってくれた。ここではその一部を紹介する。※取材は2020年6月26日にオンラインにて行いました。

東京2020オリンピックでは階級を本来の57kg級に変え、リオオリンピックに続く2大会連続金メダルを狙う

――東京2020オリンピックの延期が決定した時はどんなお気持ちでしたか?

「新型コロナウイルスのニュースを見ていて、ある程度は予想していたので、決定した時は『やっぱりな』という感じでした。ここから1年さらに辛い練習をするのかという不安もありましたが、意外と冷静に受け止めている自分もいました」

――気持ちはすぐに2021年に切り替えられたわけですね。

「決まってしまったことはどうにもできないので、ここからどう過ごすかのほうが大事だと思っています」

――新型コロナウイルスの影響による競技活動の自粛期間中は、ご自身にとってどんな時間でしたか?

「普段は当たり前だと思っていたことのありがたみを知る時間だったかもしれません。みんなと練習できることもそうですし、いつもは食事を作ってくれる方がいるのですが、自粛中はそれもありませんでした。当たり前に思っていたサポートのありがたさをより実感した期間になったと思います」

――自粛期間中は、どのようなトレーニングをされていましたか?

「トレーニングをする場所もなく、家の中で音を立てることもできないので、静かにできるトレーニングはないかと探していたところ、ヨガやピラティスを見つけました。これらのトレーニングは運動量が減ると最初に落ちると言われる柔軟性を高めることができるので、練習再開時にケガをしないためのトレーニングとして始めました。実際に取り組んだことで、体が少し柔らかくなったような気がします」

――スパーリングや技術練習など、対人の練習ができなくなることへの不安はありませんでしたか?

「少し不安になることはありましたが、父から『レスリングの技術力は変わらないから大丈夫』とアドバイスをもらっていたので、そこはあまり気にしないようにしていました。それよりも、心肺機能や筋力面をどれだけ維持していけるかを考えて、できることをやっていました」

東京2020オリンピック代表の座をかけて争った伊調馨との試合は日本中の注目を集めた

――東京2020オリンピックへの出場をかけて、伊調馨選手とのオリンピック女王対決が実現しました。大きな注目を集めたこの試合には、どんな気持ちで臨んでいたのでしょうか?

「試合で緊張するのは当たり前だと思っているのですが、緊張で吐き気がしたのはあの時が初めてです。減量してお腹が空いているはずなのに、気持ちが悪くて食べることができませんでした」

――結果的に明治杯、プレーオフで連勝して世界選手権への切符を掴みました。伊調選手との戦いを経て、自分の中で変化を感じるところはありますか?

「あの期間の緊張度合いは過去に経験したことがないもので、オリンピックや世界選手権よりもはるかに上の緊張と怖さがありました。それを乗り越えたからもう大丈夫というか、相手云々ではなく、自分の力を出し切れば大丈夫だという自信、もう乗り越えられないものはないと考えられるようになりました」

――それだけの困難を乗り越えて掴んだ切符です。東京2020オリンピックは絶対に負けられないですね。

「はい。馨さんだけでなく、同じチームの後輩たちも本気で私に勝とうとして向かってきました。その人たちの気持ちを背負ってというのはおこがましいですが、そういう人たちと戦って代表になったのだから、私は日本代表として恥じない戦いをしなければいけないなと思っています」

――東京2020オリンピックは仕切り直しとなります。4年前とは違い、川井選手には日本チームのリーダーとしての役割も求められると思います。

「リオが終わって一昨年あたりから代表チームでもキャプテンを依頼されることも増えてきて、(吉田)沙保里さんたちはどんな気持ちでやっていたのだろう? と考えることも多くなってきました。今までは先輩に付いていくのに必死でしたが、今は私よりも年下の選手が代表に何人かいるので、私が先頭に立って背中を見せる、しっかりやっている姿を見せることが、チームの雰囲気作りのためにもいいのかなと思います。以前はきついメニューだとコーチに文句を言っていたのですが(苦笑)、なるべく抑えて頑張ろうと思っています」

――では改めて東京2020オリンピックへの意気込みをお願いします。

「優勝しか見ていません。代表になるまでの過程が充実していてすごく濃い時間だったので、その過程をしっかりいい結果で終わらせたいなと思っています」

こちらのインタビューのほか、レスリング一家での幼少期のことや、階級への考え方、伊調馨選手との代表権争いの詳細など、川井選手のカラー4ページにわたるインタビューは、9月7日に(公財)東京都スポーツ文化事業団が発行した『スマイルスポーツVol.83』に掲載されています。

川井梨紗子(かわい・りさこ)
1994年11月21日生、石川県出身。両親ともにレスリング選手というレスリング一家に生まれる。2016年リオデジャネイロオリンピック63kg級で金メダルを獲得すると、17年~19年まですべて違う階級で世界選手権3連覇を達成。東京2020オリンピック57kg級の日本代表に内定している。

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川井梨紗子選手(レスリング)スマイルスポーツ・アスリートインタビュー&メッセージ

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