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2021-04-15

【陸上】2度目のマラソンで日本歴代5位の激走。Honda・土方英和が目指す道

同期の活躍を受け、びわ湖毎日マラソンで激走した土方 写真/JMPA

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2月28日のびわ湖毎日マラソンで2位に入り、2時間06分26秒の日本歴代5位のタイムを出した土方英和(Honda)。優勝した鈴木健吾(富士通)が2時間04分56秒の日本新記録を樹立したために、その快走は大きく取り上げられなかったが、本人は「逆に目立たなくてよかった」と振り返る。

「目標は2時間8分30秒での8位入賞でしたので、この結果はまさかという感じです。実際、自分はそこまでの練習はやっていないんですよ。予想以上のタイムが出てしまって“すごい”という感覚はなく、“これからもっともっと練習していかないといけない”と強く感じました。目立たないで、よかったと本当に思っています」

 Hondaの小川智監督も「大切なのは次のレースです。もう一度、同じレベルの記録と順位で走らないと本物とは言えません」とまだその力を確かなものとは見ていない。ただ國學院大4年で挑んだ2020年の東京マラソンでは2時間09分50秒の日本人学生歴代3位タイで走っていた逸材が、大きな飛躍の可能性を見せたことも事実だ。

 再度、同じレベルの走りをするために――。この春シーズンも引き続き、ロードに重点を置くと決めた。当初は4月25日のぎふ清流ハーフ、5月9日の仙台国際ハーフの連戦を計画していたが、仙台ハーフが中止になったため、東京五輪のプレ大会、5月5日札幌マラソンフェスティバル(ハーフ)にエントリーした。

「びわ湖でも後半に鈴木選手に置いていかれましたし、40kmからラストまでももたなかった。理由は練習不足の一点に尽きますが、いきなり練習をレベルアップするのではなく、昨年秋からやっている練習を継続し、確実に力をつけていく方針です」と小川監督。あえて連戦にし、疲労を残した状態でレースに挑むことでマラソン後半の走りを改善したいという狙いがある。

 Hondaでは同期入社の伊藤達彦(東京国際大出身)が10000mで、青木涼真(法政大出身)が3000m障害で東京五輪代表を目指す。狙う種目は違うものの、土方にとって彼らの存在は大きな刺激となっている。特に伊藤が10000mで日本歴代2位を出した昨年12月の日本選手権終盤で見せた驚異的な粘りは「自分はラスト勝負が弱く勝ち切れないところがありますので、マラソンで苦しくなる終盤であの走りができるようになりたい」と目指す姿にしている。

 視線の先には来年の世界選手権代表の座も見えてきた。だが「自分は高い目標を立てるタイプではないので、まずは目の前の課題を確実にクリアしていきます」と話す。彼の走りがこれからどう変化していくかを見守りたい。

 なお、昨シーズン、実業団ルーキーとして三者三様に世界を意識した活躍を見せた土方、伊藤、青木の特別鼎談は「陸上競技マガジン5月号」で掲載している。

文/加藤康博

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