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2019-05-19

富士通、東京ガスの粘りに苦しみながら 準決勝へ進出 パールボウルトーナメント

 アメリカンフットボールの「Xリーグ」は5月18日、東日本社会人選手権「パールボウル」トーナメントの1次リーグ戦2試合があり、第2試合では、富士通フロンティアーズが東京ガスクリエイターズを破った。富士通は2勝でAブロック1位となり、6月2日の準決勝に進出した。敗れた東京ガスは1勝1敗で6月1日の東日本交流戦に回ることになった。

【富士通 vs 東京ガス】第3クオーター、富士通RB金がタックルを引きずって突進。スピードとキレで勝負するタイプだが力強さも若手に負けない=2019年5月18日 撮影 小座野容斉

富士通フロンティアーズ○34-7●東京ガスクリエイターズ(2019年5月18日、富士通スタジアム川崎)

 富士通が前半は苦戦した。最初のオフェンスシリーズは3&アウト、続く2回のドライブでも、レッドゾーンまで攻め込みながらタッチダウン(TD)を取り切れず、2本のフィールドゴール(FG)に終わった。第2クオーター10分に、QBマイケル・バードソンからルーキーWR松井理己にパスが決まり初TDを奪った。

【富士通 vs 東京ガス】富士通のルーキーWR松井はパス4キャッチ33ヤード。チームの初TDを奪うなど大器の片りんを見せつつある=2019年5月18日 撮影 小座野容斉.jpg

 第3クオーター、富士通は途中から出場のRB金雄一がエンドゾーンに飛び込んで20-0とした。しかし東京ガスがRB尾花史高のランTDで再び13点差とした。
 第4クオーター、富士通はFGトライから、ホルダーのDB藤田篤がTE福井雄哉にTDパスを決め、東京ガスを突き放すと、試合終了5秒前にもQB平本恵也からWR柴田源太がTDパスが通って、最終スコアは34-7となった。

【富士通 vs 東京ガス】富士通の2年目DL山崎がタックルフォーロス。日大の先輩OLB趙の手荒い祝福を受ける=2019年5月18日 撮影 小座野容斉

苦戦の富士通、勝負を締めた30代の「仕事人」たち

 両者の対戦は1昨年の9月以来。その時は59-0で圧勝した富士通が、東京ガスの粘りに苦しんだ。
 前戦の富士ゼロックス戦で活躍したRB高口和起が痛んで試合途中でサイドラインに下がった。高口の後を埋めて活躍したのがRB金だった。
 後半、最初のドライブは金がパスキャッチとランでゲインを重ね、TDを奪うワンマンショーだった。金のスタッツはラン18キャリーで79ヤード1TD、パスキャッチ4回20ヤード、リターンで1回22ヤード。アウトサイドのレシーバーとして、インサイドのランナーとして、どんなプレーでもきっちりとやり遂げる33歳の金は「ミスをしてしまったとしても、気持ちを切らさずに、プレーをする。ドライブを続ける。それができたと思う」という。

【富士通 vs 東京ガス】第4クオーター6分、富士通DB藤田が、FGトライが崩れた後でTDパスを決める=2019年5月18日 撮影 小座野容斉

 第4クオーター、ホルダーの藤田が決めたTDパスで再び3ポゼッション差となり、試合の大勢が決まったが、「あれはスペシャルではなく、(FGトライの)プレーが崩れたエマージェンシー」(山本洋ヘッドコーチ)という。決めた藤田は日本体育大学時代はQB経験もあった。「Xリーグでは初TDパスだと思います。レシーバーの福井が隅の方へ走り込んでくれた。最悪投げ捨てでも良いと思って投げたパスをよく捕ってくれました」と話した。
 しかし自己採点としては「50点」のプレーだという。「僕と(Kの)西村(豪哲)が出てきたときは、FGの3点を取りに行っている。無得点で終わらなかったのは良かったが、FGをきちんと決めるのがミッションで、決められたら100点だった」と、33歳の藤田は、結果オーライで終わらせることはなかった。

【富士通 vs 東京ガス】第4クオーター残り5秒、富士通WR柴田がQB平本からのTDパスをキャッチ=2019年5月18日 撮影 小座野容斉

 結果的には大差となったが、オフェンスの仕上がりを重視した富士通は、試合が決まった後でも、貪欲に攻め続けた。春ならではの光景で、残り5秒でQB平本のTDパスが決まった。
 22日に32歳になるQBユニット最年長の平本は「特に前半、ピシッとできなかった部分もあったし、前のTD(藤田のパス)も、オフェンスが取ったものではなかった。きっちり終わらせたかった」という。このシリーズでは、OLやレシーバー陣は若手で、そこにQB平本、RB金、WR宜本慎平という組み合わせだった。平本は「確かにオフェンスは、30代と若手という構成になることがあるが、若手だから不安だとか、30代だから安心ということはない。大事なのは自分の仕事をきっちりとやること」と話す。
 ここ数年、王者のもとには強豪大学のスター選手が参集している。この試合もWR松井や高津佐隼矢、DL斉川尚之や山崎奨悟らルーキーや2年目の若手が躍動した富士通だったが、終わってみれば、勝負所をきっちり締める30代の仕事人の重みを改めて感じさせられた。【写真/文:小座野容斉】

【富士通 vs 東京ガス】第2クオーター、東京ガスLB安田のブリッツを受けながら、パスを決める富士通QBバードソン。前半、なかなかTDを奪えずに苦しんだ=2019年5月18日 撮影 小座野容斉

【富士通 vs 東京ガス】アウトサイドのスクリーンパスから走りあがる富士通のルーキーWR高津佐=2019年5月18日 撮影 小座野容斉

【富士通 vs 東京ガス】東京ガスQBイカイカにプレッシャーをかける富士通のルーキーDL斉川=2019年5月18日 撮影 小座野容斉

【富士通 vs 東京ガス】勝利を喜ぶ富士通のチアリーダー=2019年5月18日 撮影 小座野容斉

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