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2021-05-02

【プロレス】新IWGPヘビー級王者・武藤敬司が大ブーイングの中でスティーブ・オースチン戦 1995年5月26日

コーナー最上段からのフェースクラッシャーを決めるスティーブ・オースチン

 1995年5月26日、新日本プロレス後楽園ホール大会のメインイベントで武藤敬司がスティーブ・オースチンとシングルマッチをおこなった。

 当時の武藤は橋本真也を5・3福岡ドーム大会で破って、IWGPヘビー級王者になったばかり。東京凱旋試合ではまだ“ストーンコールド”になる前のオースチンとの一騎打ちに臨んだ。

 試合は意外な方向へと進んでいった。ゴングが鳴って10分を過ぎても勝負にいく気配のない武藤を見て、観客からヤジが飛ぶ。

「これでいいのか、武藤!」
「もう待ってらんねーぞ!」
「客のテンション、下がってるぞ!」
「チャンピオン、しっかりしろ!」

 武藤は入場時に大歓声の迎えられている。あまりにも大きな期待感が異常なまでに膨れ上がり、その反動がヤジとなったのだろう。

 オースチンはWCWからの招待選手。2年8カ月ぶり3度目の来日だ。武藤はいきなり潰すのではなく、腰を落ち着けて闘うことで、その魅力を引き出そうとしたのかもしれない。

 この日のセミでは選手会と蝶野正洋軍の6人タッグマッチがものすごい熱狂を生み出していた。その直後のメインということも影響があったか。

 オースチンを下した後、武藤は「プロレスの根本的なものは、身をもって受けなきゃならない。そういうのもベルトと一緒に、みんなに知らしめていきますよ」と語った。プロレスは生もの。素顔でIWGPヘビー級王座初戴冠を成し遂げた“天才”でさえも、その洗礼を受けていた。

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