アメリカンフットボールの「Xリーグ」は春シーズンの真っ盛り。今週末の5月18、19日には東日本社会人選手権「パールボウル」トーナメントの1次リーグ戦(富士通スタジアム川崎)で、ベスト4進出をかけた戦いがある。その中で、今季に強い思いで臨む男たちに注目した。最初に取り上げるのは、王者・富士通フロンティアーズのRB高口和起だ。
富士通のパールボウルトーナメントの初戦は4月21日、富士ゼロックスミネルヴァAFCが相手だった。この試合で、高口は40ヤードの先制タッチダウン(TD)ランなど、ラン109ヤード2TD、パスレシーブ2回12ヤードを記録した。
昨シーズンのオフェンスの切り札、RBトラショーン・ニクソンが欠場した中で、日本大学の後輩RB、ウィリアムス・デレクアキラと2人で計163ヤードを走ってオフェンスのベースとなる働きを見せた。
2018年のシーズン、チームは、3年連続日本一に輝いたが、高口個人にとっては不本意なシーズンだった。
リーグ戦の記録はラン96ヤード1TDだが、10月以降、日本選手権「ライスボウル」までの6試合でランわずか9ヤード。社会人準決勝のオービック戦、社会人決勝「ジャパンXボウル」のIBM戦はRBとしてキャリーがなく、ライスボウルは1キャリーで0ヤードに終わった。
ラン成績では、ニクソンどころか、QBマイケル・バードソン、そして日大の大先輩で、8歳年上の33歳金雄一にも、まったく敵わず。勝負どころの3試合でボールをほぼ持たせてもらえなかった。
高口は、持ち前の力強い走りで、日大では1年生からゲームに出場し活躍。2016年に富士通に入社した。
前シーズンの2015年、負傷でエースRBジーノ・ゴードンを欠いたことが響いて、連覇を逃していた富士通にとって、若くタフでパワフルな高口は重要な存在となった。
ルーキーシーズンから、ゴール前など重要なシチュエーションで起用されて、2年目の2017年にはラン204ヤード、ゴードンを凌ぐ4TDランを重ねた。ボウルゲームでもゴードンに次ぐRBとして起用され、重責を担った。
今季はRBの原点に返って、「足を止めない走り」を心がけている。
RBは、オフェンスでは最も強いタックルを受け続けるハードなポジションだ。超人的な働きを見せたニクソンでも、負傷で出場できない試合があった。現在176センチ、92キロの高口が、本来の人に強い走りを見せることができれば、ニクソンの負担は大きく減る。
18日の対東京ガス戦でも、高口の突破力が試合の勝敗を大きく左右することになりそうだ。
【写真/文:小座野容斉】
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