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2021-05-18

【プロレス】第三世代の突き上げをはね返す! 武藤敬司が怒りのG1タッグリーグ制覇!! 1999年9月23日

中西学を腕ひしぎ十字固めで絞る武藤敬司

 1999年9月23日、新日本プロレス日本武道館大会で武藤敬司がスコット・ノートンと「G1クライマックス・タッグリーグ戦」を制覇した。

 シリーズの核はタッグリーグ戦だったが、話題は10・11東京ドームで決まった橋本真也vs小川直也4度目のシングルに集中。その上、蝶野正洋も首の負傷再発で途中リタイア。そんな中で第三世代がメキメキと頭角を現しており、同年8月の「G1クライマックス」決勝では武藤自身も中西学に敗北。厳しい世代交代の荒波に飲み込まれそうになっていた。

「蝶野は欠場だし、橋本もワケがわかんないし。オレが砦っていうかさ。マスコミが“新旧”とか書くから。時代は譲らないってのはある。G1あたりからオレとか橋本とか蝶野が負けると、客が喜ぶんだよな。こっちも反骨精神じゃないけど、時代は簡単に変えさせない。狙うは優勝。オレたちの時代は守る」

 10・11東京ドーム大会ではIWGPヘビー級王者として、中西の挑戦を迎え撃つことが決まっていた。武藤は闘魂三銃士世代の“砦”という意識で第三世代の突き上げをはね返そうとしていた。

 武藤はノートンとのコンビで順調に勝ち点を伸ばして決勝に進出。奇しくも決勝の相手チームとなったのは中西&永田裕志組。タイトルマッチ前最後の前哨戦という意味合いもあった。

 武藤は珍しくコール時にTシャツを投げつけ、ゴング前にドロップキックを発射。それだけ余裕がないのかと思わせておいて、試合中は不敵な笑みで挑発。側転エルボーをキャッチされるとアルゼンチン・バックブリーカーで捕獲されてピンチを迎えたが、G1決勝と同じ結果にはさせない。

 何とか耐え抜いて、再度アルゼンチンで担がれたが、背後に着地して飛びつくと、意表を突いた腕ひしぎ十字固めでギブアップ勝ちを収めた。伝家の宝刀である足4の字固め以外の“引き出し”があるのも武藤の強み。あらためて第三世代との差を見せつけた。

「あんなの何回やっても負けないよ」
「何が新世代だ!」
「東京ドームやる必要ねぇんじゃねぇの」

 当時の新日本は第三世代がいかにして闘魂三銃士を超えていくのかという大きな流れがあった。それをマスコミはアオり、下剋上をファンが楽しむ。武藤はそういう風潮にも怒っていた。

 1999年、武藤は年頭にIWGPヘビー級王者となってから素晴らしい試合を提供し、実績を積み重ねてきた。闘魂三銃士世代の砦という自覚も生まれ、第三世代からの突き上げさえも、自身をさらに昇華させる手段に変えてしまっている。まだまだ新日本の頂点という不動のポジションは揺るがない。

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