close

2021-05-13

【相撲編集部が選ぶ夏場所5日目の一番】炎鵬、必死の土俵で初白星を挙げる

久々に幕内の土俵に上がった十両炎鵬が、天空海を引き落としで破り今場所の初白星を飾った

炎鵬(突き落とし)天空海

5日目は前日に続いて今場所3回目の4大関全員が白星。調子の上がってこない朝乃山も3勝2敗と白星を先行させた。照ノ富士がただ1人全勝で、貴景勝と正代が1敗。照ノ富士の力が抜けている印象だが、このまま終盤まで他の3大関が食らいついて、4大関による優勝争いが見たいものだ。

5日目は十両に落ちている炎鵬が久しぶりに幕内の土俵に上がって天空海と対戦。炎鵬は場所前に右足首を痛め、2日目には宇良の小手投げで右ヒジも痛め、満身創痍の体でここまで4連敗。早く初日を挙げたいところだ。

炎鵬は立ち合い低く当たって中に入ろうとするが、天空海に左差し手を抱え込まれ、これを嫌って離れる。再び左を差すと肩透かしにいくが決まらず、土俵際に追い込まれた。もう一度、左を深く差すと相手が右上手を取りにくるタイミングで痛む右からの突き落としが決まって、初白星を挙げた。

「勝ててよかったです。とにかく必死でやっただけです」と息を弾ませる炎鵬。十両の支度部屋は花道奥から階段を上がったところの相撲教習所なので、十両力士は取組直後にリモート取材を受けることになる。炎鵬の必死さが伝わる一番だった。

宇良戦で痛めた右ヒジは3日目、4日目は使えていなかったが、この日は使えるようになってきた。右ヒジの状況を聞かれると、「土俵に上がっているってことは大丈夫です。一日一番なんで、自分のできること、自分の相撲を取るだけです。これからもすべてを出し切るだけ。相手に勝つ前に自分に勝てるように」と覚悟を決めている。痛み止めの注射とかを打っているのかと聞かれると、「周りの人にいろいろサポートしてもらっています。自分一人だけの力じゃ、土俵に立てていない」と答えた。

久しぶりに幕内の土俵で勝利し、懸賞金も受け取った。「早く幕内の土俵に戻れたらいいなというのは感じました」。東十両筆頭の地位だけに勝ち越せば幕内復帰は確実だ。「昨日からお客さんが入って力になっています」とファンの拍手も背中を押してくれる。

休場中の横綱白鵬からは、「今朝の稽古場で『頑張れよ』と言われました」。応援してくれる人の言葉を力に、そしてこの日の白星が一番の薬になっただろう。何とか勝ち越して幕内に返り咲いてほしいものだ。

文=山口亜土

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事



RELATED関連する記事