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2021-05-16

【相撲編集部が選ぶ夏場所8日目の一番】豊昇龍、朝乃山を破り大関戦初勝利

初の幕内上位に進出した豊昇龍が3人目の大関挑戦で朝乃山を破り、大関戦初勝利を挙げた

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豊昇龍(内掛け)朝乃山

今場所の注目の1つが豊昇龍の上位初挑戦だった。元横綱朝青龍の甥にあたる豊昇龍は地道に力をつけて、今場所は自己最高位の東前頭5枚目まで躍進。6日目から大関戦が組まれ、照ノ富士、貴景勝には跳ね返されていた。そして、8日目は3人目の大関朝乃山と顔が合った。

立ち合い、先に手をついて待つ朝乃山に対し、豊昇龍は思い切り飛び込んでいった。右からのノド輪押しで大関の上体を起こすと、右を差して左上手をガッチリつかみ、朝乃山には廻しを与えない。その体勢から休まず右内掛け。体勢を崩した朝乃山に体を浴びせるように倒して、うれしい大関戦初勝利を挙げた。

「思い切り当たっていこうと思っていた。集中して自分の相撲が取れた。勝ってよかったです」と興奮気味の豊昇龍。立ち合いの当たりで朝乃山を後退させたのが大きかった。いつも叔父さんの朝青龍から厳しい言葉を投げられているが、今日の相撲は褒めてくれるのではないか。

「今場所は大関とか三役と当たるので、勉強の場所と思ってやっている」と語っていた豊昇龍。ここまで黒星先行の3勝5敗だが、この白星は大きな自信になるだろう。

心配なのは朝乃山。軽量の豊昇龍に立ち合いから押されたように踏み込みがまったくなく、4勝4敗と五分の星に戻ってしまった。初日からいいところがなく、勝った相撲も自分の形になっていなかった。

「踏み込んで廻しを取ってと思っていたけど、中に入られて内掛けを食ってしまった。踏み込みが甘いので、あの形を許してしまった」と悔やむ。「踏み込まないと自分の相撲が取れないと思う。自分自身との戦いなので、気持ちを切り替えていきたい」と巻き返しを誓っていたが、部屋に稽古相手となる関取がいないことも響いているのだろう。とにかく、朝乃山らしい相撲で1つ勝つことだ。

優勝争いは全勝の照ノ富士が大栄翔を退けて全勝を守り、1差で追う貴景勝が妙義龍を叩き込んで1敗をキープした。2敗で髙安、御嶽海、阿武咲、逸ノ城、遠藤、隠岐の海、千代大龍の7人が追いかける展開。

明日9日目は照ノ富士-髙安戦が組まれた。照ノ富士は髙安に4連敗中と苦手にしている。照ノ富士が合い口の悪い髙安に勝つようなら、このまま無傷で走ってしまうのではないか。優勝争いを面白くする意味で、髙安には頑張ってもらいたい。

文=山口亜土

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