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2021-05-18

【相撲編集部が選ぶ夏場所10日目の一番】遠藤、2敗を守り3場所ぶりの勝ち越し

新鋭・琴ノ若のモロ手突きを下からあてがい上体を起こすと、万全の体勢で押し出し勝ち越しを決めた遠藤

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遠藤(押し出し)琴ノ若

後続に2差をつけた照ノ富士が、この日も霧馬山を難なく寄り切って全勝を守った。追いかける2敗力士5人のうち、御嶽海、逸ノ城、千代大龍が敗れ、2敗を維持したのは大関貴景勝と前頭8枚目遠藤の2人だけだった。NHKテレビの大相撲中継で勝ち越しインタビューに呼ばれた遠藤が珍しくしゃべったので、遠藤を取り上げたい。

対戦相手の琴ノ若とは過去に2回顔が合って2勝と、遠藤が相撲のうまさを発揮している。琴ノ若としても何とかしようといつもと違う立ち合いで挑んでいった。立ち合い、モロ手突きで遠藤の上体を起こそうとした琴ノ若だが、遠藤に下からあてがわれ、逆に上体が起きてしまう。遠藤は土俵際に追い込むとヒザを曲げ、腰を落とした万全の体勢で押し出し、8勝目を挙げた。

インタビュールームで勝ち越しの気分を聞かれた遠藤は、「よかったッス」とひと言。相手のモロ手突きに対しては、「しっかり見て、落ち着いて相撲が取れました」と振り返った。先場所は左ふくらはぎ肉離れの影響で途中休場したが、「精神的にも体ともうまく付き合えています」と語った。

「10日目以内の早い勝ち越しはいつ以来か覚えていますか」と聞かれると、「興味ないんで」とそっけない。アナウンサーから「5年ぶりですよ」と振られても無表情。5年前の平成28年秋場所は13勝2敗の好成績を挙げている。この場所は大関豪栄道が全勝で初優勝した。

今後について聞かれると、「変わらず一日一番、集中していくだけです」。モチベーションになっていることを聞かれると、多く語ってくれた。「お客さんもいつもより入場できないけれど、テレビの向こうで応援してくれる人が大勢いるので、会場にいる人たちも含めて元気が出るような相撲を取っていきたい」と語った。これには解説の舞の海さんも「遠藤はよくしゃべるようになりましたねえ」と感心。

昨年の7月から報道陣の取材が支度部屋前に置かれたパソコンを使ってのリモート取材となったが、遠藤は勝っても負けてもほとんどが取材拒否で2回ぐらいしか受けていない。人気力士である遠藤の新聞記事が少ないのはそのせいである。普段からこれぐらい話してくれるとありがたいのだが……。

とにかく、ケガから回復し、次から次へと技が出る流れるような攻めが戻ってきた遠藤。照ノ富士と対戦したら、横から横からうまく攻められるのではないか。今場所の対戦はなさそうだが、大勝ちして番付を上位に戻して、来場所以降の対戦を待ちたい。

文=山口亜土

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