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2021-05-20

【相撲編集部が選ぶ夏場所12日目の一番】大鵬の孫・王鵬が関取初勝ち越し

再十両の王鵬が幕内上位経験もある豊山を寄り切り、関取として初の勝ち越しを決めた

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王鵬(寄り切り)豊山

12日目から大関朝乃山が休場。初日の2日前を含む複数回キャバクラに通い、相撲協会のガイドライン違反での謹慎となった。連れ回したのが某スポーツ紙の記者というのだから、開いた口が塞がらない。場所後に処分が出されるが、厳しいものになるだろう。

前日、痛恨の反則負けを喫した照ノ富士だが、その影響を見せず、分の悪かった阿武咲に快勝。1差で追う2人のうち遠藤は敗れたが、貴景勝は逸ノ城を押し出して1敗を守った。上位陣に波乱がなかったので、12日目は十両力士を取り上げたい。関取初勝ち越しを決めた王鵬と幕内復帰確実の9勝目を挙げた宇良のどちらにしようかと迷ったが、ここは初勝ち越しの王鵬で。

今場所再十両を果たした王鵬は連敗スタートながら3日目から巻き返し、8日目から4連勝でこの日の給金相撲を迎えた。対戦相手は幕内上位経験もある豊山。王鵬は立ち合いから突き放していくが、左四つに組み止められ、両者上手が取れない体勢。それでも王鵬は圧力をかけ続け、左カイナを返して右はおっつけて前に出る。粘る豊山を寄り切り、十両で初めての勝ち越しを決めた。

「前に出られたのでよかったと思います。立ち合いは何も気にせず当たった。相手が動いてくるかもとか考えず、突き落とされたらしようがないと思って当たりました。前に出て勝てたので自信になります」と振り返った。

新十両だった今年の初場所は5勝10敗と跳ね返されたが、1場所で十両に返り咲いた。「初場所はすごく悔しかったので、そういう思いはしたくなかった。さすがにもう(幕下に)落ちたくないので、8番勝たないと落ちてしまうし、最低限のことはできたなと思います」。これまでの王鵬は攻めていっても引き技で墓穴を掘ることが多かったが、今場所は我慢して前に前に攻めている。王鵬自身も「前回と違って前に出られていると思います」と胸を張る。

今のところ、突き押し主体も、この日のように四つに組んでも取れる。王鵬の場合、どうしても大鵬の孫、貴闘力の息子というまくら言葉がつくが、本人はもう慣れているだろう。父のような突き押し、祖父のような四つ身の柔らかさが身につけば、番付はどんどん上がっていくだろう。応援してくれるオールドファンも多いので、番付を駆け上がって喜ばせたい。

文=山口亜土

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