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2021-07-10

【ソフトボール】東京五輪ソフト代表の山崎早紀(2)「客席の皆さんのところまでボールを飛ばしたい」

オリンピックでのホームランも期待される山崎(写真/斎藤 豊)

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五輪でのソフトボール競技は2008年の北京大会を最後に正式種目から除外されていたが、2020年東京五輪で追加種目としての採用が決まり、強化を進めてきた。ソフトボール・マガジンWEBでは、3大会ぶりとなる東京五輪で金メダル獲得を目指す15名の選手たちを、順々に紹介していく。

 
山崎早紀 (トヨタ自動車/外野手)
熱い気持ちを胸に(2)

昨年はリーグMVPに輝く活躍を見せた山崎。山本優や森さやからと並び強打者としての活躍が期待されるとともに、外野守備も高い評価を受けている。さらに宇津木麗華ヘッドコーチが信頼を置くのは、内に秘めた熱い心。強い気持ちで日本代表を引っ張っていく。(取材は5月4日、全文はソフトボール・マガジン8月号掲載)


経験がないからこそ思い切って挑める

──代表発表会見では、宇津木ヘッドコーチが山崎選手のことを熱いものを持っているとも表現されていましたね。

山崎 あれはビックリしました(笑)。「そう思われてるんだ⁉」みたいな。意外でした。練習中に宇津木監督が横に来て1対1で話す機会もあったので、その会話の中でそうした印象があったのかもしれないですね。そんなに長く一緒にプレーしているわけではないし、私は自分からそんなに話すタイプではないので、監督がコミュニケーションとしてお話をしてくださっていたのかなと思います。

──代表のチームメイトとのコミュニケーションはいかがですか。

山崎 やっぱり自チームにいるときよりも、みんなといろいろなことを会話することは心掛けています。同じチームでプレーしていないと何をどんなふうに感じているのかを分からない部分が多いので、話をすることが違った一面を知る機会になっていると思います。オリンピックが1日、1日と近付いてくる中で、勝つためには個人だけでなくチームとして何をすべきかを考えることも必要なので。

──リーグ戦について、前半戦を振り返っての感想を教えてください。

山崎 投手が頑張ってくれていて、ほとんどの試合で3失点以内に抑えてくれていました。逆に言えば打線が3点以上取れていないので、もうちょっと投手に応えてあげられる打撃ができればと思っていました。今年、調子は全然悪くなくて、オープン戦もいい状態で試合に臨めていたんです。でも、いざ開幕したら力んでしまって、どこかズレてしまった。チームが大きく変わった年だったので、自分が結果を出さなければいけないという気持ちが強過ぎて、それが逆効果だったのかなと思います。去年がいい成績だったので、自分自身がそれを求め過ぎてしまっている部分もあったかと。でも、試合を通して感覚が戻ってきているとも感じていたので、もうちょっと我慢できれば良くなってくると思います。

──チームの雰囲気はどうですか。

山崎 若い選手が頑張ってくれていますし、チームの雰囲気はいいです。なので、経験のある選手たちがいい結果で続いていけば、後半戦は勝てる試合が増えると思います。「最終回まで何が起こるか分からない」とも言われますし、やっぱりトヨタは負けない、強いチームだと思ってもらいたい。そして先ほども言いましたが、若い選手も活躍しているので、今までとは違うトヨタ、新しいトヨタの姿ももっとお見せしたいです。

──東京五輪まではどのようなことを強化していきたいですか。

山崎 やっぱりバッティングですね。国際大会ではストライクゾーンなどもリーグ戦とは変わってくるので、そういったところもしっかり対応できるように準備したいと思います。外国人投手には強いと自分でも思っているので、そこは自信を持って挑みたいです。

──山崎選手にとって、東京五輪とは。

山崎 子どものころからの夢の舞台なので、うれしい半面、まだ驚いている部分もあります。峰(幸代、トヨタ自動車)さんからは、どうやって生活していたかなど北京五輪についての話を少し聞きました。合宿でも上野(由岐子、ビックカメラ高崎)さんや山田さん、スタッフの方から五輪の経験談をお聞きしましたが、自分が想像するよりもすごい舞台なんだと感じました。でも、怖さはないですね。経験がないからこそ思い切って臨めると思います。

──では、最後に意気込みを。

山崎 打席ごとにそのときの一番のプレーをしてチームに勢いをつけたい。そして、難しいかもしれませんが、夢の舞台で客席の皆さんのところまでボールを飛ばしたいなと思っています。


【PROFILE】
やまざき・さき/1991年11月12日、静岡県生まれ。170cm66kg。右投右打。外野手。常葉大附菊川高-トヨタ自動車(2010年~)。チームでは15年にレギュラーとなり、18年は打点王、本塁打数2位の活躍で優勝に貢献。20年はMVP、首位打者、打点王の三冠に輝いた。16年に日本代表に初選出され世界選手権出場。17年に選考外になるも、18年に復帰し二度目の世界選手権出場。今季リーグ成績(5節終了時点):11試合、38打席、5安打、1本塁打、1打点、2盗塁、打撃率.147。

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