公開練習を行った競歩日本代表。前列左から池田、岡田、藤井、河添。後列左から勝木、高橋、山西、川野、丸尾(写真提供・日本陸上競技連盟/アフロスポーツ)
7月24日、北海道・千歳市内にて東京2020オリンピック競歩日本代表の公開練習が行われた。
午後にはオンラインで男女9選手、今村文男オリンピック強化コーチなどの会見が実施され、大会への抱負、意気込みを語った。
複数メダルの獲得も可能
2016年リオ五輪男子50キロ競歩で荒井広宙(当時・自衛隊体育学校)が銅メダルを獲得。日本競歩界にとって、五輪初の快挙となった。
19年ドーハ世界選手権では、男子20キロ競歩で山西利和(愛知製鋼)、男子50キロ競歩で鈴木雄介(富士通)の2人が金メダルを獲得。女子20キロも岡田久美子(ビックカメラ)が6位、藤井菜々子(エディオン)が7位とダブル入賞を果たしている。
東京五輪においても、同様に好成績が期待できる。今村文男オリンピック強化コーチは「今までの国際大会の実績、レースの対応力を考えると複数メダルの獲得も可能だと思います」と力強く語る。
昨年1年間はコロナ禍の影響で国際大会が少なかったこともあり、ライバルとなる他国選手の実力を把握しにくい状況ではあるが、「オリンピックは記録よりも順位」と今村コーチ。持ちタイムで力の差を測るのではなく、大会当日にベストパフォーマンスで臨めるよう注力していく。国際審判の判定に対する対応、暑熱対策などレース中の準備、サポートなど、千歳合宿中に細部を詰めていく予定だという。
自然体で臨むのは、男子20キロ世界王者の山西だ。
「金メダル候補と言っていただけますが、オリンピックは初出場ですし、あまり気負わずに」
ドーハ世界選手権以降、海外勢とのレース経験はないが、「ドーハや直近のレースで調子のいい選手については分かっています。うまくマークしながらやっていきたい」と意に介さない。
男子20キロ競歩は、8月5日(木)16時30分スタート。
「ラスト5キロを切って、ペースが上がっていくはず、そこに対応して勝ち切る。どんなパターンになっても対応できますし、金メダルをターゲットにずっとやってきた。そこは変わらずに取りにいきたい」
男子20キロ競歩は前回リオ五輪での松永大介(当時・東洋大4年)の7位入賞が最高位となる。日本歴代4位の自己記録を持つ池田向希(旭化成)、2大会連続出場の高橋英輝(富士通)とともに、男子20キロ初のメダルを狙う。
ドーハ世界選手権男子20キロ競歩優勝の山西。東京五輪の金メダル最有力候補(写真提供・日本陸上競技連盟/アフロスポーツ)
男子50キロ勢も金メダル獲得がターゲットだ。
3時間36分45秒の日本記録保持者である川野将虎(旭化成)は、「東京は50キロ競歩が実施される最後の大会。そこで金メダルを取ることが自分の責務」と語る。2017年ロンドン世界選手権5位入賞の丸尾知司(愛知製鋼)は「金メダルをターゲットに、自分の力を最大限に発揮できるように残りの期間準備したい」と意気込む。
いずれも残り10キロが勝負どころと見定めている。
早朝5時30分スタートとはいえ、気温が上がってくるなか、さらにペースアップが図れるかがメダル獲得のポイントとなりそうだ。
前回は岡田のみの参加となった女子20キロ競歩だが、今回は藤井、河添香織(自衛隊体育学校)の3名がフルエントリー。
「入賞を目標に全力を尽くしたい。暑くなればメダルにもチャレンジできる。挑戦する気持ちで臨みたい」と岡田。「上位入賞を目指したい」という藤井とともにドーハ世界選手権の再現を狙う。ただ出場するのみだったというリオ五輪と異なり、「実力も4年、5年でつきました。準備も順調ですし、東京は勝負にいきます」と岡田は宣言。女子競歩悲願の五輪入賞に挑む。
■東京2020オリンピック競歩代表選手
●男子20キロ
山西利和(愛知製鋼)
池田向希(旭化成)
高橋英輝(富士通)
●男子50キロ
川野将虎(旭化成)
丸尾知司(愛知製鋼)
勝木隼人(自衛隊体育学校)
●女子20キロ
岡田久美子(ビックカメラ)
藤井菜々子(エディオン)
河添香織(自衛隊体育学校)
■東京五輪 競歩種目競技日程
8月5日(木)
16時30分:男子20キロ競歩
8月6日(金)
5時30分:男子50キロ競歩
16時30分:女子20キロ競歩