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2021-09-15

【相撲編集部が選ぶ秋場所4日目の一番】新関脇・明生、星を五分に戻す

新関脇明生と琴ノ若の若手同士の一番は激しい攻防を見せ、最後は明生が右下手投げで琴ノ若を降した

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明生(下手出し投げ)琴ノ若

3連敗中だったカド番大関・貴景勝が必死の相撲で豊昇龍を突き落として初白星。出場した横綱、大関が今場所初めて安泰となった。そうは言っても、貴景勝は相手に廻しを取られる苦しい展開で、本来の相撲が取れていない。今後も厳しいかもしれないが、必死さは伝わってきた。最後まであきらめず勝ち越しを目指してほしい。

4日目は新関脇の明生と初めて上位に上がってきた琴ノ若が対戦。若手同士の一番は力の入った好内容だったので、この相撲を取り上げたい。明生が左四つで琴ノ若が右四つのケンカ四つの対戦で、過去は明生の2戦2勝だが、琴ノ若もよく頑張った。

立ち合い、両手をついて待つ琴ノ若は明生の当たりを受ける形となった。明生は右を深く差し、左も差して前進。琴ノ若は土俵に詰まりながらも回り込んで右を巻き替える。四つは琴ノ若得意の形だが、腰の位置は明生のほうが低い。明生が両廻しを引き付けて出るが、琴ノ若も重い腰で粘って、明生は攻め切れない。明生が左を巻き替えた瞬間に琴ノ若が出たが、明生は土俵際で体を入れ替え、右下手出し投げで土俵外へ出した。これで明生も琴ノ若も2勝2敗の五分となった。

「自分の相撲を信じて、相手を気にせず、自分のことに集中していきました。出足がよかったと思います。土俵際の反応もよかった」と明生は振り返った。

敗れた琴ノ若は、「相手は左四つが得意なので、右を固めていったんですけど、右を差されて体が浮いてしまった。考えすぎたかなと思う」と悔やんだ。考えすぎたことが立ち遅れの原因となったようだ。

しかし、苦しい体勢になりながらも粘り腰はさすがだった。先場所12勝しているだけあって、力をつけている。「今場所は挑戦者。一番一番向かっていっているだけなので、持っているものを全部出して、反省は終わってからすればいいと思う」と前を向いた。

今場所は優勝争いとは別に、琴ノ若や豊昇龍の若手が上位陣を相手にどんな相撲を見せるかも注目だ。

文=山口亜土

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