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2021-09-19

【アメフト】ビッグプレーメーカー林が復活、シルバースターが富士フイルムに完勝

【シルバースター vs 富士フイルム】第2Q、シルバースターWR林がQB田中から21ヤードのTDパスをレシーブし勝ち越し=撮影:小座野容斉

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アメリカンフットボールのXリーグ「X1エリア」第2節、アサヒビールシルバースターと富士フイルムミネルヴァAFCの試合の1戦は、シルバースターが完勝した。

アサヒビールシルバースター○37-7●富士フイルムミネルヴァAFC
(2021年9月12日、富士通スタジアム川崎)


 シルバースターは第1Q4分に、RB岩田和樹からTE佐々木雄矢にタッチダウン(TD)パスが決まって先制。富士フイルムは、同11分にQB鈴木貴史からWR桑原司にTDパスが決まって同点とした。
 シルバースターは、第2Q7分に、富士フイルムのキッキングのミスで、相手陣内からのオフェンスとすると、QB田中大輔がWR林雄太に21ヤードのTDパスを決めて勝ち越した。さらに前半最後のプレーでK梅垣光理が43ヤードのフィールドゴール(FG)を決めて17-7で後半へ折り返した。
【シルバースター vs 富士フイルム】第1Q4分に、シルバースターRB岩田からTE佐々木にTDパスが決まって先制=撮影:小座野容斉
【シルバースター vs 富士フイルム】第1Q4分に、シルバースターRB岩田からTE佐々木にTDパスが決まって先制=撮影:小座野容斉

 第3Q、シルバースターは、敵陣でファンブルをリカバーするとK梅垣が32ヤードのFGを決めてリードを広げた。第4クオーターには2TDと1FGを追加と、最後まで攻撃の手を緩めなかった。
 富士フイルムは、QB鈴木が脚部故障のためか、最初のドライブを除けば大半のオフェンスで出場せず、RB廣澤達也がQBをプレー。オフェンスの手詰まりはどうしようもなかった

【シルバースター vs 富士フイルム】第1Q11分、富士フイルムQB鈴木からWR桑原にTDパスが決まって同点=撮影:小座野容斉
【シルバースター vs 富士フイルム】第1Q11分、富士フイルムQB鈴木からWR桑原にTDパスが決まって同点=撮影:小座野容斉

【シルバースター vs 富士フイルム】第2Q、富士フイルムのファンブルをシルバースターのルーキーLB久保田がリカバー=撮影:小座野容斉【シルバースター vs 富士フイルム】第2Q、富士フイルムのファンブルをシルバースターのルーキーLB久保田がリカバー=撮影:小座野容斉


開放性骨折、引退の危機を克服「本当の俺のプレー見せる」

 両チームが試合最初のオフェンスシリーズでTDの応酬。シルバースターが9プレー43ヤード、仕上げは有馬隼人HCの母校、関西学院大風のスペシャルプレーでTDを奪えば、富士フイルムは13プレーかけてファーストダウン5回を奪い、65ヤードを前進する重厚なドライブでTDを決めた。QB鈴木が決めたTDは、速く、正確でほれぼれするパスだった。

 しかし、その後は一転して、両チームオフェンスが精彩を欠いた。シルバースターはブランクから復帰2戦目QB田中が、インターセプトを喫したし、富士フイルムは、QB鈴木がサイドラインにさがり、さらにパントでスナップされたボールを後逸した。


 停滞感を打ち破ったのが、シルバースターのエースWR林だった。エンドゾーンまで21ヤードの地点。4WRセットからエンドゾーン右奥に走り込むと、ジャンプしながらボールをキャッチ、片足でエンドゾーン内にしっかり着地した。187センチ95キロの体躯がファインダーの中で躍動した。

 「4タテ(4人全員がタテに走る)なんですけれど、(QBは)絶対に俺に投げてくるから捕らないと駄目だなというのは思っていました。1試合でTDパスを捕るチャンスはそんなにない。あそこで捕らなかったら、今日の試合は捕れないだろうなとも思っていました」

【シルバースター vs 富士フイルム】シルバースターWR林は、チームトップの4回58ヤードレシーブを記録した=撮影:小座野容斉
【シルバースター vs 富士フイルム】シルバースターWR林は、チームトップの4回58ヤードレシーブを記録した=撮影:小座野容斉

 林にとって、2019年5月5日以来のTDパスレシーブだった。その2週間後の試合で、林は右足すね開放性骨折という重傷を負った。骨が2本とも折れて、皮膚を破って飛び出してしまう大怪我だ。林の足首はその時違う方向を向いていた。「アメフットだけでなく、人生の中で最大の激痛でした」という。

 通常なら引退に直結するような重傷を負いながら、2年をかけて林は選手として復活した。第1節のペンタオーシャン・パイレーツ戦では、チームで2番目となる3キャッチ41ヤードを記録し、文句ない復帰戦に思えた。

 しかし、林の心の中は違っていた。「俺は2年前、怪我する前は、こんなレベルだったのかなと、正直ショックを受けました。イメージと現実が違っていました。もっとできたはずなのになと」

 チームがどんどん若返って、「今いる若い選手も、来ているお客さんも俺の本当のプレーを知らない。だから見せたかったし、今日の試合にかけている思いはありました」という。

 足は気にならないということはない。だが、「長所は、大きな体で動けるということ。足のせいで『縮こまったよね』とか、言われたくない。ダイナミックに動ける練習は積んでいる」という。
2019年の5月19日、開放性骨折の重傷を負ったシルバースターWR林=撮影:小座野容斉
2019年の5月19日、開放性骨折の重傷を負ったシルバースターWR林=撮影:小座野容斉

 X1スーパー昇格を目指すシルバースターだが、今季は外国人選手なしで戦っている。若い選手が多く、1試合1試合、手探りの中、上昇を続けている。そんな中で、林が単なる現役復帰ではなくビッグプレーメーカーとして復活したことは、チームにとっても有馬HCにとっても、大きなプラス材料となる。

 次戦は、警視庁イーグルス。機動隊員として日々鍛えた強靭なフィジカルで、ペンタオーシャンパイレーツを大差で破って、勢いに乗っており、相手にとって不足はない。復活第3ラウンドで、林は、どんなプレーを見せてくれるのだろうか。

2019年5月5日、TDパスをキャッチして喜ぶシルバースターWR林=撮影:小座野容斉
2019年5月5日、TDパスをキャッチして喜ぶシルバースターWR林=撮影:小座野容斉

【シルバースター vs 富士フイルム】この試合で136ヤードをゲインしたシルバースターRB川村は、スピードと力強いタテ突進が持ち味=撮影:小座野容斉
【シルバースター vs 富士フイルム】この試合で136ヤードをゲインしたシルバースターRB川村は、スピードと力強いタテ突進が持ち味=撮影:小座野容斉

【シルバースター vs 富士フイルム】第1Q11分、富士フイルムQB鈴木は左足にニーブレスをしてプレー。限定的な出場ながらパスは8回すべて成功=撮影:小座野容斉

【シルバースター vs 富士フイルム】第1Q11分、富士フイルムQB鈴木は左足にニーブレスをしてプレー。限定的な出場ながらパスは8回すべて成功=撮影:小座野容斉

【小座野容斉】

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