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2021-09-22

【ボクシング】元女王・宮尾綾香が再起戦に勝利「返り咲くためにやり続ける」

2年10カ月ぶりの勝利に笑顔の宮尾

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 22日、東京・後楽園ホールで行われた女子47kg契約ノンタイトル8回戦は、元WBA女子世界アトム級王者の宮尾綾香(38歳=ワタナベ)が、日本女子アトム級王者の長井香織(31歳=真正)を3-0(79-73、78-74、78-74)の判定勝ちで下し、約3年ぶりの白星を挙げた。なお、当初メインイベントに予定されていた日本フェザー級最強挑戦者決定戦、源大輝(ワタナベ)対草野慎悟(三迫)戦は、草野が新型コロナウイルスのPCR検査で陽性反応が出たため中止。日を改めて行われる。

 世界王座5度防衛の実績を誇る宮尾は、途中アクシデントに見舞われながらも、巧みな試合運びで確実にポイントを手繰り寄せた。相手との間合いをはかっていた2回だった。出会い頭のバッティングで左のこめかみ付近を負傷。ドクターチェックが入り、一時中断する。顔をしかめつつも何とかやりすごしたものの、3回に長井が狙っていた右を不用意にもらう。一時流れは傾きかけたが、ここから気を引き締め直した。バッティングと右を警戒し、素早い出入りで的確にパンチを当てて、試合を優勢に進めていく。

「距離を取って、ポイントアウトすることを考えていました」。長井の直線的な攻撃をうまくいなす。後半は危なげない安全運転。要所でサイドを取って左フックを打ち込み、角度を変えて右も浴びせた。時折見せたインサイドワークでも、日本王者との差は歴然。ヤマ場となるようなラウンドこそなかったものの、負けないボクシングをしっかり完遂した。8回終了のゴングを聞くと、ほっとしたような表情を見せて、静かに微笑んだ。

「久しぶりの勝利すぎて、どのように喜んでいいのか、分からなかったです」。2018年11月以来となる勝利だった。昨年12月、WBO女子世界ミニマム級王座決定戦で多田悦子(真正)に9回TKO負けを喫してから9カ月ぶりのリング。内容は決して満足のいくものではなかったが、ボクシングの試合ができる喜びを噛み締めていた。いまだ引退の二文字が頭に浮かんだことはないという。先月に38歳の誕生日を迎えても、意欲はみなぎったまま。目指すべき場所は明確である。

「世界チャンピオンに返り咲くためにやっています」。力強い言葉には、とことんまでやり抜く覚悟がにじんでいた。今後は適正階級のアトム級で勝負していくことを誓い、辛抱強くチャンスを待ち続けるつもりだ。宮尾の戦績は26戦20勝(6K0)5敗1分。敗れた長井の戦績は12戦6勝(2KO)3敗3分。手練手管のベテランを捉えることができなかった。

文/杉園昌之 写真/小河原友信

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