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2021-10-15

【ボクシング】井上岳志がオーストラリアでビッグネームに挑戦

オーストラリアに乗り込む(左から)齊田会長、井上、竹迫(写真/ワールドスポーツジム提供)

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WBOアジアパシフィック・スーパーウェルター級チャンピオンでWBO世界同級7位の井上岳志(31歳=ワールドスポーツ)は11月17日、オーストラリアのシドニーで同国のWBO世界同級1位ティム・ジュー(26歳)と対戦することが発表された。試合はジューの持つWBOグローバル同級王座を賭けたタイトルマッチ12回戦として行われる。

「こんなチャンスは2度とない。すべてを賭けて臨み、勝って世界タイトルにもう一度挑戦したい」。オンラインによる記者会見で、井上が言葉に力を込めた。ティム・ジューと言えば、殿堂入りもしたスーパーライト級のレジェンド、コスタヤ・ジューの息子で、デビューから19連勝(15KO)の快進撃をマーク中。父子鷹の話題性とエキサイティングな攻撃力で、すでに母国では世界チャンピオン以上の人気を誇り、タイトル挑戦も間近とされる強豪だ。このジューに勝てば、世界中の注目を集められることは間違いない。

オーストラリアの人気者ティム・ジュー(写真/ゲッティイメージズ)
オーストラリアの人気者ティム・ジュー(写真/ゲッティイメージズ)

 ワールドスポーツジムの齊田竜也会長は1年以上前からジューに狙いを定め、対戦交渉を続けてきた。その知名度とランキングの高さが魅力なのはもちろん、「井上とは噛み合う」という勝算あってのことだ。ジューは野性味あふれる豪快なパンチャーだった父をスマートにしたような万能型ファイター。井上も「全体的にバランスがよく、パワーもある」と評するが、同時に「自分のような選手とはやったことないと思う」と自信の根拠を語る。そのジュー攻略に向け、師弟が磨きをかけるのは右ストレートだ。「井上のパワーがもっとも活きる距離」で放つこのパンチに、大勝負を賭ける。

 2019年1月、米テキサス州ヒューストンでWBO世界同級王者ハイメ・ムンギア(メキシコ)に挑み、徹底した接近戦で最後まで王者を苦しめた井上。しかしポイントにはつながらず、ムンギア戦後は距離をとっても戦えるスタイルへの改造に努めてきた。ジャブ、ストレートをいかにしっかり打てるかは、そのままジュー戦の成否にもつながる。7月には同級の世界ランカー、アンソニー・ファウラーに招かれ、イギリスのカンタベリーで3週間のスパーリング合宿を経験。そこで学んだ「映像では分からない、日本人にはない技術」を帰国後の練習に取り入れ、レベルアップを実感している。

 当初ゴールドコーストと伝えられた試合地は、最近になってジューのホーム、シドニーに変更された。隔離期間がなくなったことで、10月25日に予定していた出発は11月の10日前後まで延ばせることになった。遠征には同僚の東洋太平洋・日本ミドル級王者の竹迫司登も帯同し、万全の調整を期す。「いい試合だったとか、善戦してよかったではなく、今度こそ結果を出したい」。そう決意を語る日本中量級の第一人者は、南半球からビッグニュースを届けられるか。

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