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2021-10-23

【箱根予選会】速さを強さに――明大が前回箱根シード落ちからの再生で盤石のトップ通過

上位が安定した走りを見せた明大(右から鈴木、櫛田佳希・3年、児玉真輝・2年)

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第98回箱根駅伝予選会が10月23日(土)に、東京都立川市の陸上自衛隊立川駐屯地内周回コース(ハーフマラソン、21.0975km)で行われた。トップで本戦出場を決めたのは明治大。前回の箱根駅伝では10000mの上位10名の平均タイムで参加大学中2位のスピードを持ちながら11位に沈み、スピードを強さに変えることを課題としていたが、強風の吹き荒れた今回の予選会ではタフさを発揮。来たる来年1月の本戦への期待を抱かせる走りを見せた。

主将の鈴木聖人、手嶋杏丞(共に4年)を軸に戦力が充実し、トップ通過の筆頭候補に挙げられていた明大だが、山本佑樹監督は戦前、「そんなに簡単ではありません。何が何でも突破することだけを考えたい」と慎重な姿勢を見せていた。しかし終わってみれば、10時間33分22秒と2位の中大に4分16秒差をつける完勝。「上位グループで固まって選手がレースを進めることができたので、安心して見ていられました」と振り返る内容で、レース全体を通じて、選手たちが持てる力を発揮した点を評価した。チームトップの全体9位、日本人2番手の加藤大誠(2年)を筆頭に、全体12位の鈴木が続くと、チーム7番目の小澤大輝(3年)でも全体26位で、ここまでの選手で大きくタイムを稼いだ。

前回の箱根駅伝で11位とまさかの結果に終わっただけでなく、3月に今回の予選会と同じコースで行われた日本学生ハーフでは強風が吹く悪コンディション下で多くの選手が苦戦。「このままでは予選会は通過できない」と山本監督は危機感を抱き、今年度はタフさを求める練習を追求した。これまでチーム全体で行う負荷の高い練習日以外は、選手個人の判断に任せてジョグを行っていたが、それも走行距離を監督が指定するようになり、かつアップダウンのあるコースを積極的に走って、脚筋力の向上を目指してきた。夏合宿も向かい風対策として上りのコースも取り入れている。ここまでのトラックのスピードをロードでの強さに結びつける取り組みが、結果に結びついた形だ。

「とはいえチーム7番目とその下の選手ではタイム差(43秒)があったので、本戦ではここがシード権を持つチームとの差になるなと思いました」

本戦に向けての課題としてチーム全体のさらなるレベルアップをあげた山本監督。2週間後には全日本大学駅伝が控える。昨年はここで3位に入り、「箱根優勝」を目標に掲げた。だが勢いだけで勝てないことを痛感した今季は全日本で確実に昨年を上回り、かつ油断なく1月の大一番へ準備するつもりだ。

この予選会でまずは第一関門をクリア。明大は引き続き、タフさを求めた鍛錬を続けていくことになる。


盤石のトップ通過はあくまで通過点。本戦での走りにも大いに注目が集まる

文/加藤康博 写真/椛本結城

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