close

2021-12-15

【ボクシング】切れ味抜群! 木村吉光、爽快に駆け上がる

木村(左)は3回、一気の連打でフィニッシュした

全ての画像を見る
14日、東京・後楽園ホールで行われた東洋太平洋スーパーフェザー級王座決定戦12回戦は、同級3位の木村吉光(29歳=志成)が、2位で日本同級王者の坂晃典(25歳=仲里)に3回27秒TKO勝ちした。木村は東洋太平洋王座2度目の挑戦でタイトルを獲得した。

 開始ゴングとともに鋭く踏み込み、右ストレートを上下に放っていったのは日本チャンピオンの坂だ。この強気の先制攻撃を、木村は足を使ってかわし、ジャブで迎え撃った。「相手がプレッシャーをかけてくるのは分かっていたので、冷静にいこうと思っていた」。むきになって打ち合う傾向を、野木丈司トレーナーに抑えられてのスタートだったが、闘いは間もなく白熱する。坂の右に合わせた、木村の左フック。真剣を思わせる斬り合いに、早い決着の予感が漂う。

 打ち合いに突入した2回、木村の左フックで坂がヒザからダウン。続く3回は開始早々、右で逆襲を狙う坂に、木村の右がカウンターで炸裂。がくっときたところへ、木村が一気の集中打でストップを呼び込み、スリリングな攻防の幕は降りた。決め手になったのは、いずれも「自然に出たパンチ。手ごたえはなかった」と木村は振り返った。

「頭、真っ白です」と、2年半ぶりの勝利に声を詰まらせた木村。2019年、三代大訓(ワタナベ)の東洋太平洋王座に挑んで敗れた後は「ボクシングをやめようと思った」。一時は「運動もせず、チョコレートばかり食べて」体重は最大73キロに達したという。所属していた白井・具志堅ジムの閉鎖、さらにコロナ禍の追い打ちで試合から遠ざかったが、志成ジムに移籍し、野木トレーナーとの練習を再開した。「泣いてるのにまだやらされて、野木さんをうらんだりした」と言いながらも「そのおかげでベルトを獲れた」と師の課したハードトレーニングに感謝。「来年もこの勢いを止めずに駆け上がっていきます」と、木村は爽やかに宣言した。16戦13勝(8KO)2敗1分。壮絶に散った坂は27戦21勝(18KO)6敗。

文/藤木邦昭 写真/ワンダン・ダワー

タグ:

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事



RELATED関連する記事