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2021-12-16

【箱根駅伝の一番星】ラストに「主将らしい走りを」東海大学・本間敬大がチームのために快走を誓う

歴代の主将が見せてくれたように、本間も最後の箱根で雄姿を披露するつもりだ

陸マガの箱根駅伝2022カウントダウン企画「箱根駅伝の一番星」は出場20校の注目選手を紹介。最後の箱根駅伝、それも主将の立場となれば、そこに懸ける思いはひとしおに違いない。東海大学を束ねる本間敬大(4年)もその一人。大学で競技を終える本間はラストの箱根路で集大成の走りを誓う。

競技生活の集大成

 競技生活最後の大舞台が近づいてきた。東海大の主将を務める本間敬大(4年)は、「集大成として、チームのため、これまで支えてくれた人たちのために走りたい」と、虎視眈々、そのときに備えている。

 豊中十一中(大阪)から、長野の佐久長聖高に進学。中学時代に全国大会の出場経験がなかったにも関わらず、強豪校で1年生から全国高校駅伝に出場。3年時の同大会では4区で区間賞を獲得し、チームの優勝に貢献。都道府県駅伝では、2年連続で4区の区間賞を手にした。

 2018年春に東海大へ。全国区の実績を引っ提げて入学したが、2学年上に“黄金世代”といわれた強力な先輩たちがずらりと名を連ねており、なかなか駅伝メンバーの座をつかむことができなかった。初めて学生三大駅伝に出場したのは、3年目の全日本大学駅伝。5区で区間4位と好走すると、続く箱根駅伝でも7区を任され、区間6位で走り切った。

 箱根駅伝の前には、21年度の主将就任が決定していた。「速さより、強くて安定感のあるチームをつくっていきたい」と始動したが、2月に右の足首を痛め、2カ月ほど走れない日々が続いた。大学に入ってから故障で長期離脱したことはなく、戸惑いもあったという。また、大学で競技を引退し、一般企業に就職する道を選んだことから、春は就職活動で忙しかった。全体練習に参加できないこともあり、「主将として、チームを引っ張ることができませんでした」と、もどかしさも感じていた。

 しかし、就職活動が落ち着いてからは、生活面、競技面の両方でリーダーシップを発揮。自身も駅伝シーズンに向けて調子を上げていった。

主将らしい走りで、後輩にシード権を

 10月の出雲駅伝は6区8位、11月の全日本大学駅伝は7区9位。共に終盤の長距離区間を担ったが、「区間順位もタイムも、目標を大幅に下回ってしまいました。他大学のエース級と戦う力がなかったのだと思います」と、悔しさを味わった。

 チームも出雲で9位、全日本で12位と苦戦。春から三大駅伝3位以内を目指してやってきたが、そこには届かなかった。ただ、夏合宿から順調に練習を消化してきた。積み重ねてきたトレーニングには自信を持っており、軌道修正をして箱根駅伝に臨む。

 東海大は前回大会で主要区間を走った選手たちが卒業したほか、3区で区間賞を取ったエースの石原翔太郎(2年)が故障でエントリーから外れた。それでも本間は、「山を走る準備をしている選手もいますし、石原がいない分は4年生の僕たちが補い、総合力で戦っていきます」と覚悟を決めている。

 全日本で5年ぶりにシード権を失った分、箱根だけは後輩たちに予選会を走らせるわけにはいかない。本間は「次回の箱根に後輩たちを出場させたい。3位以内の目標は変えずに最低限、シード権獲得を狙います。往路のいずれかの区間、または復路の9区か10区で主将らしい走りをしたいです」と、決意を込めた。

「箱根駅伝を目標に、ずっと陸上競技を続けてきました」と言い切る本間。その特別な舞台で、有終の美を飾るつもりだ。


「後輩たちにシード権を」。箱根でも主将の気迫の走りが期待される

ほんま・けいた◎1999年10月29日、大阪府生まれ。179cm・60kg、B型。豊中十一中(大阪)→佐久長聖高(長野)。高校時代は3年連続で全国高校駅伝に出場。3年時には1学年後輩の松崎咲人(3年)らと全国制覇を達成。学生三大駅伝デビューは3年時の全日本大学駅伝で5区区間4位、前回の箱根駅伝は7区区間6位と区間一ケタ。主将を務める今年度は出雲駅伝で6区区間8位、全日本は7区区間9位と長距離区間を担った。競技継続はせず、箱根が輝かしいキャリアの締めくくりとなる。自己ベストは5000m13分53秒33(2020年)、10000m29分14秒44(21年)、ハーフ1時間02分59秒(20年)。

文/石井安里 写真/井出秀人、中野英聡

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