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2021-12-31

【アメフト】「ゴジラ」デービス vs「超人」ハッチンソン オレンジボウルは最強ディフェンスがオフェンスを破壊する戦い カレッジフットの楽しみ方(7)

ジョージア大ディフェンスの「怪獣王・ゴジラ」ジョーダン・デービス=photo by getty Images

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アメリカンフットボールの全米4強による大学王座決定戦「カレッジ・フットボール・プレーオフ(CFP)」が、現地12月31日(日本時間1月1日)キックオフとなる。コットンボウル<アラバマ大学 vs シンシナティ大学>に続くのが、オレンジボウル<ミシガン大学 vs ジョージア大学>の一戦だ。コットンは、実は、実力差がある対戦カードとみられており、勝敗的には面白いのはオレンジボウルとなりそうだ。

 「カレッジフットの楽しみ方(7)」は、フットボールの原点である、攻守ライン戦で白熱のせめぎ合いが予想され、そこには、次のドラフトでも目玉となりそうな怪物ディフェンス選手が登場するオレンジボウルを取り上げる。(写真はすべてGetty Images)

全米大学王座決定戦(CFP)準決勝 オレンジボウル
ミシガン大学ウルヴァリンズ(全米2位)
     vs 
ジョージア大学ブルドッグス(全米3位)
日本時間2022年1月1日、午前9時30分【解説】森清之 【実況】増田隆生


今季のジョージア大ディフェンスは「過去15年で最強」説

ジョージア大学ブルドッグスは、今季第1週からずっと全米2位をキープ。そして第6週で1位だったアラバマ大がテキサスA&M大にアップセットされて以降は、8週連続で1位をキープした。その原動力は圧倒的な破壊力のディフェンスだった。

 今季13試合で124失点。全米130校中の1位だ。ただし、41点はSECチャンピオンシップのアラバマ大戦で失ったもの。開幕12戦では83失点だった。つまり、1試合平均で7点取られていなかったことになる。アラバマ大戦までは、最も点を取られた試合でも17点。完封勝ちも3試合あった。

 現代カレッジフットボールはスプレッドオフェンスが主流で、30点、40点を取る試合が普通にある。その中で、強豪ぞろいのSECで、ジョージアの失点は衝撃だった。米スポーツ専門局ESPNの著名なドラフトアナリストであるジム・ナギーは「ジョージア大ファンの皆さんは、この2021年のディフェンスについて孫の代まで語り継ぐことになる。過去10~15年のカレッジフットボールでは、最高のユニットだ」と言い切っている。
ジョージア大のカービー・スマートHC=photo by getty Images

 ジョージアの最強ディフェンスを背負って立つ男がいる。DTジョーダン・デービス。198センチ、154キロ。分厚い上半身とサイズに見合わない俊敏な動き。OLは1対1なら、まずブロックはできない。ほとんどの場合、ダブルチームされている。だからスタッツはそれほど膨らんでいないが、他のディフェンス選手がその分、自由に動き回っている。それがジョージアディフェンスの強さとなっている。

 ニックネームはGODZILLA(ゴジラ)。ジョージア大の「G」と合わせたのだろうが、OLの壁を破壊し、ボールキャリアーに容赦なく襲い掛かる姿はまさに「怪獣王」そのものだ。今季は最優秀ディフェンス選手に贈られるチャック・ベドナリック賞、攻守の最優秀ラインに贈られるアウトランドトロフィーをダブルで受賞した。
ジョージア大ディフェンスの「怪獣王・ゴジラ」ジョーダン・デービス=photo by getty Images

 「ゴジラ」デービスは、恵まれた運動能力を生かしてオフェンスにも登場する。ゴール前でハンドオフを受けて突進。相手ディフェンスは止めようがない。

 ゴジラばかりではない。あるドラフトサイトでは、ジョージアのディフェンスのスターターは11人全員が将来NFLへ行くと予想しているほどだ。長身のエッジラッシャー、OLBアダム・アンダーソンは、2巡までに指名されるといわれている。俊敏なILBネコビ・ディーンは全米トップクラスのILBで、猫ではなく、虎そのものだ。カレッジフットボール屈指のハードヒッター、FSルイス・シーンも怖い存在だ。

 ミシガンのオフェンスラインは、全米で最も優れたOLユニットに与えられるジョー・ムーア賞を受賞している。大きく重く強く、そして機敏に動く。今季、ここまでの快進撃を予想する人は少なかったが、アンダードッグだったオハイオ州立大戦では雪の舞うアナーバースタジアムで、ラン297ヤード6TD。4年生のパワーバック、ハッサン・ハスキンスと、小柄な2年生ジェイク・コラムのワンツーパンチで地上戦を支配した。
宿敵オハイオ州立大との1戦では、地上戦を支配したミシガン大オフェンス=photo by getty Images

 ゴジラが率いる最強ジョージアディフェンスに対してどこまで走ることが出来るのか。

カレッジ最強エッジラッシャーコンビ、ミシガン大

 ジョージアディフェンスばかりを賞賛したが、ミシガン大にも、ディフェンスの超人がいる。DEエイダン・ハッチンソン。
 ハイズマントロフィーの投票で、2位に食い込んだ、カレッジトップ級のパスラッシャーだ。ミシガン州の出身で、父もミシガン大のLBとして活躍した。高校時代に全米オールスターの「オールアメリカンボウル」で2サックを挙げて注目された。
ミシガン大DEハッチンソン。ドラフトのトップ指名候補の1人だ=photo by getty Images
 ミシガン大に進学後は2年時に68タックル4.5サックで中心選手となったが、3年時には負傷でシーズンを棒に振った。4年生の今季は14サック、55タックルの活躍。サック数はミシガン大のスクールレコードを更新した。198センチ。120キロとDEとしては理想的な体格。ペンシルバニア州立大戦、オハイオ州立大戦では1試合3サックと、大一番で勝負強さを見せるのも魅力。2022年のドラフトで全体1位指名という予想があるほどだ。
 ハッチンソンの反対サイドのパスラッシャーには、運動能力に溢れた長身のOLB、デービッド・オジャボがいる。オジャボは今季11サック。エッジのコンビとしては現在のカレッジ最強だろう。

 オフェンスの点の取り合いは、楽しいし、面白い。だが、ディフェンスが相手オフェンスを破壊するフットボールはエキサイティングだ。

 エキサイティングな戦いがオレンジボウルでは期待できそうだ。

ミシガン大のジム・ハーボウHC=photo by getty Images


オレンジボウルの勝者には、山盛りのオレンジが贈られる=photo by getty Images

【小座野容斉】

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