「予選会場に向かうバスの中で泣いていた」冨田せなが北京オリンピック銅メダル獲得の裏側を語る～リポビタン for Sports presents「The Deep」～

　3月20日（日）20:00～、スポーツライターの金子達仁氏がパーソナリティーを務めるニッポン放送のリポビタン for Sports presents「The Deep」の第18回放送で、北京オリンピックのスノーボード女子ハーフパイプで銅メダルを獲得した冨田せなが出演した。

4年前の平昌大会に臨んだときに比べて今年の北京オリンピックでは気持ちの変化はありましたか？

「平昌のときは、オリンピックイヤーに土壇場で自分の結果次第では出られるかもしれないという状況になり、勢いで行っちゃった感じです。今大会までの4年間は怪我も多かったし、たくさんの方に関わってもらったので、せなと一緒に関われて良かったなと思ってもらいたい気持ちが強くなりました」

心から周囲の方に感謝していることが伝わります。

 「今回のオリンピックの会場で、前に脳挫傷をして3カ月間絶対安静の年がありました。そのときに初めて競技から離れようか本気で悩んだんです。そこをきっかけで両親などサポートしてくれる方に、もうちょっと頑張ってみなと声をかけてもらって、色々助けてもらったので、ちょっとでも恩返しできたらと思うようになりました」

いろんな人が救ってくれたんですね。

「まずお母さんが怪我から復帰して1年で、”ダメでもいいから大会に出て自分がどのくらい滑れるか様子を見てみたら？”と言ってくれて。ワールドカップに復帰しようと思えました。その言葉がなかったら、もしかしたら大会に復帰できていなかったかもしれないです」

そこまで追い詰められて、また立った舞台が大怪我をした場所。ポジティブな要素が見えないです。

「今回の会場が脳挫傷で引退を考えた場所でもありますが、ワールドカップで初めて表彰台に乗った会場でもあったんです。気持ち的に凄く複雑でした。いいイメージもあるけど、そのあとに悪いイメージがついてしまいました」

新しい記憶のほうが悪いんだ？

「そうです。だからどうしてもいいイメージまでは持って行けず、気持ちはしんどくて、コーチには”このパイプ滑るの怖いです”と言いながら練習してました」

公式練習の段階で滑りたくないのに、予選までにどう切り替えたのですか？

「嫌だった部分もあるんですけど、今シーズンのワールドカップに一緒に回っていた選手たちが全員オリンピックに行けたわけじゃない。選考で落ちた選手も、絶対みんな出たかったはず。それを考えたら”選ばれたからにはしっかりやることをやらなきゃな”という気持ちが途中から出てきて切り替えました」

それでもまだポジティブな状況ではまだなかったはず。

「予選の日にやっと気持ちが落ち着いたときに、選手村からスキー場に移動するバスの中で突然バーッて涙が出てきたんです。“どうしたの？　緊張しているの？”と声をかけてもらいました。緊張どころではなく、今まで平気だったけど“今日何かあるのかなと？”考えたら涙が出てきて、”どうしよ、どうしよ”みたいな。気持ち的にはたぶんボロ負けしてました」

バスの中でもう会場に着いちゃいますよ。どうしたんですか？

「会場に着いたときもワーって泣いてて。みんなも“緊張するよね”と話したりしてくれて、トレーナー、コーチに思っていることを話して、気持ちが落ち着いてからリフトに乗って、パイプのあるところまで移動しました。一回涙を思い切り出したらすっきりして、やるしかないわという感じになれました。でもそこから意外と吹っ切れたのか分からないけど、いろんな人に“今泣いているなら全部出しとけ”と言われて、全部涙を出して“よし！”という感じです。そこでスイッチが入りました」

スイッチ入った？

「入ってなければ決勝まで残れなかったと思います」


スタジオで北京オリンピックの裏話を披露したスノーボード、ハーフパイプの冨田せな

貴重なお話をありがとうございます。まだ若いですが、リカバリーに気をつけていますか？

「これは絶対やっていますというものはないですが、やはりご飯、睡眠はしっかりとりたいと思っています」

　”せな”の名前の由来、スノーボード協議における服装や用具のルールについて聞きたい方、今回の放送を聞き逃した方は無料アプリ「radiko」でタイムフリー機能を使えば、放送1週間後まで聴取可能となる。

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