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2022-04-18

【陸上】東京五輪挑戦からのリスタート。男子5000m・遠藤日向がシーズン初戦で見せた成長の跡

金栗記念1500mで日本歴代3位の記録をマークした遠藤

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昨年の日本選手権男子5000m覇者の遠藤日向(住友電工)が4月9日の金栗記念1500mでシーズンイン。ラスト勝負で三浦龍司(順大3年)にかわされたものの、3分36秒69の日本歴代3位の好記録でレースを終えた。フィニッシュ後、2位の結果に遠藤は苦笑いを浮かべたものの、「スピードトレーニングの一環として特に調整をせずに挑んだレース。3分40秒をターゲットにしていてこのタイムですから、いい形でシーズンに入れたと思います」と住友電工・渡辺康幸監督はその走りを評価した。

5年前の2017年、遠藤は学法石川高校(福島)を卒業するにあたり、「箱根駅伝とオリンピックの両立を目指していくのは難しい。どちらに出たいかと言われたらやっぱりオリンピック。そこで勝負したい」と2020年開催予定だった東京五輪を見据え、実業団の道を選んだ。2年目からはアメリカを拠点として強化を進め順調に力を伸ばしていたが、昨年は日本選手権を制しながら、五輪参加標準記録の突破が果たせなかったことに加え、各大会の順位や記録をポイント化して順位付けするワールドランキングのターゲットナンバー(出場者数)内に入れず、オリンピック出場の夢は潰えた。

「高校を卒業したときには東京の舞台に立っていることを目指していましたので、自分がイメージしていた姿とは違うものになってしまった」

ショックは大きかったと本人は振り返るが、時間をかけずに気持を立て直すことに成功。今年のオレゴン世界選手権へと照準を切り替えて挑んだ昨年12月10日の「エディオンディスタンスチャレンジin京都2021」の5000mで自己ベストとなる13分16秒40で走り、「オレゴンの標準記録、13分13秒50を突破する力はもうあると思います」と手応えを口にしていた。

この冬は日本代表に選ばれていたアジア室内選手権(2月/カザフスタン)がコロナ禍により延期されたことを残念がるも、「5000mでは3000mからペースを落とすことなく、ラスト1000mにつなげられる力をつけたい」とその分、時間をかけてスピード持久などベースのトレーニングを行い、5000mの土台づくりを行ってきた。近年は故障などで冬の強化が滞ることが多かったが、今年は計画したメニューを順調に消化してきた。渡辺監督も金栗記念のレースから成長を感じた様子だ。

「1500mですから5000m以上のハイペースで進みましたが、それでも動きが硬くならずにレースを進められましたし、ラスト1周で自分から仕掛けることもできました。5月4日のゴールデンゲームズinのべおかで(世界選手権の)参加標準記録(13分13秒50)突破を狙います。レースの流れに乗れれば十分にいけるはずです」

うまくいけば13分10秒切りも狙えると話す。

「自分は目の前の目標をしっかりクリアし、それを積み重ねていくタイプ。まずはしっかり標準突破を狙うことを考え、それができれば自然とその先の日本記録(13分08秒40/2015年に大迫傑が樹立)も見えてくるはずです」と遠藤。コロナ禍に見舞われた間も、アメリカでレースに積極的に参戦してきた。シニアでのメジャー国際大会の経験はないものの、代表となれば、大舞台で力を発揮する自信はあると言う。

目標は世界に出ることではなく、そこで戦うこと。いつかアメリカで拠点にしていた世界のトップランナーが集うバウワーマントラッククラブのメンバーに追いつき、勝つことを目指す。東京五輪挑戦からリスタートの年となる2022年。まずは順調なスタートを切った。

写真/野中元

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